2024-08-21

都市部でも巨大地震の恐れ?ジャカルタ・バンドン高速鉄道が横切る活断層

 日本で南海トラフ地震の注意呼び掛けがあったというニュースに便乗して、インドネシア気象局も、メガスラスト地震(プレートの境界線で発生する巨大地震)が発生する可能性があると発信し始めた。

海溝とセットになった火山帯が縦に並ぶ地形。プレートの境界線を震源とするマグニチュード8以上の地震と津波がいつどこで起きてもおかしくない状況は日本と似ている。2004年にマグニチュード9の地震が大津波を引き起こした北スマトラアチェ州沖海溝の延長線上にある南スマトラ・ジャワ島の南西沖は、いつ地震が起こってもおかしくない状況だと、気象庁は説明する。

気象庁の地図をみれば、インドネシア国内全てリスクが高い。首都移転させようとしているカリマンタン島を除いて。

スンダ海溝で大地震が発生すれば、地理的に近いところに位置する首都ジャカルタにも津波がやってくる。沿岸沿いに広がる都市の海面は陸地よりも高いことはよく知られており、何十年も前から地盤沈下問題を抱えている脆弱な地質が、強い揺れで液状化を起す可能性もある。

スマトラ、ジャワ島の南側の火山帯は、断層同士の間の割れ目にマグマが蓄積される構造になっていて周期が長い(我慢強い)かわりに爆発力が巨大という特徴があるそうだ。


これまで、ジャカルタ都心部ではごくたまに小さな地震があるくらいで、地震に慣れておらず、小さな揺れがきただけでもパニックになる。2000年以降は耐震基準を満たすということが建設許可の条件になっているというが、古い建物の方が当然多いし、緑地も少なく避難所マップのようなものもない。ジャカルタでは高層ビルが建ち並ぶようになってから、本当にまだ一度も大きな地震を経験したことがないのだ。

それにしても何故、気象庁がいつ起こるかわからない地震のことについて、こんなに何度も情報発信をするのだろう。どうも独立記念日の式典前後、ジョコウィ大統領の新首都移転プロジェクトが頓挫しそうだということが色々と出てきたので、気象庁にジャカルタは危険だという情報を流させ、新首都移転の正当性を固持しようとしている意図がみえなくもない。

国民の多くは気づいているから、いや、不況のせいで金欠体制に入っていて今の米価格を不当に高いと思っているから、パニック買いなどは起こっていない。パニック買いが起れば安い外米を輸入する権限を独占して、国内の農家を破綻させ大儲けしている大統領の取り巻き連中をさらに儲けさせるだけだ。彼らのあぶく銭はもうすぐ始まる地方知事選挙での”工作活動”のための資金源へと流れ、さらに国民の首を絞めつける指導者を増やすことにつながりかねない。

だからといって地震の脅威が単なるプロパガンダだということでは決してない。近いところでは2022年のチアンジュール地震(ジャワ島西部地震)で、地震の規模に対して、建物の破壊が激しかった。国家災害対策庁によれば321名、地元政府のデータでは635名の犠牲者がでた。20年前にも大地震を経験している地域だというが、地震対策を考慮していない建物がほとんどであった。


ある小学校では校舎の天井が崩壊し授業中の小学生700名が負傷、6名が犠牲者となった

犠牲者の大半が授業中の学校の生徒だったというのが痛ましい。

この地震のあと現地では余震が中々収まらず、その後何カ月も続いたのも不気味だった。この山間の村の付近に存在する活断層の活動と関連しているかどうかは不明だが、今年2月には、その付近の数か所の村が丸ごと移住しなければなくなるほどの地すべりも発生している。


これらの地域では大雨のあと突然、地割れができて住宅が傾き始めたという。ジャカルタから日帰りできる観光スポットとして馴染みのある地域で、貸別荘なども多いところ。そしてこの断層を東にたどっていくと、西ジャワ州最大の都市、バンドンがある。

四方を山に囲まれた盆地の中にある都市で、その北側の山の下には活断層が走っている。現在街になっている地帯は太古の昔に湖だった歴史があり、地質が弱く、ジャカルタと同じように増々加速する渋滞と洪水に悩まされている。

街の中はこんなに渋滞していても、脇道から山の中腹ぐらいまで上ってレストランやカフェに入れば、街を見下ろす景色と高原らしい涼しさを味わうことができる。ちょっと値段は高めだけでそれでも人気がある。バンドンは車なしでは何もできない。

昔は、輸出向けに生産した衣類や靴のブランドものがラベルなしで買えるアウトレットショップでの買い物目当てに、週末はジャカルタからの観光客が押し掛けていたけれど、もう何年も前から、中国産ばかりになってわざわざ行く意味もなくなってきた。それに渋滞がひどいので、アウトレットショップをはしごするのももう無理。

それでも週末遊びに行ける涼しい場所(少ない)選択肢の一つとして欠かせない。
勿論、素敵なところは他にもたくさんあります。

#バンドン観光


そういえば、ジャカルタ・バンドン高速鉄道が2023年10月から開業しているけれど、もしかしてと思ったらやっぱり、レンバン断層の上を通っていた。”マグニチュード9までの耐震仕様ですから”という説明だった。



ジャカルターバンドン鉄道の乗客達成率は47%、国有企業の赤字は600憶から7兆ルピアに跳ね上がった。このお荷物のツケという津波がやってくるのもこれからなのか。