原発ないのに..セシウム汚染 エイリアン海老騒動の裏側

アメリカ上院本会議では、映画「エイリアン」の画像をモニターに写しだして、
当局の対応が生ぬるいと厳しく批判していた。

「外国のエビは、アメリカの基準に従っていないから食べたら
『エイリアン』になってしまうかもしれない。
少なくとも、耳がもう一つ生えてくるかもしれない」

アメリカ国内の主要港でインドネシア産の冷凍エビから、
放射線が検出されサンプルを検査の結果、低レベルのセシウム137が検出された。

サンプルの検出値は68Bq/Kg、米国FDAの介入レベルは1,200Bq/Kg、
下回っていればよし
、というわけではなく、
生産加工された環境の確認が必要なのだそう。

連絡を受けてインドネシア政府が調査した結果、
問題の海老を輸出した加工工場B社の工場付近で
放射能汚染が検出された。

その情報に基づき、
’不衛生な条件下で加工されたもの’として
B社が加工・出荷した輸送中の439コンテナーを含む、
冷凍エビは全てジャカルタ港に送り返されることになった。

莫大な量だ。セシウムはそのすべてから検出されたわけではないそうだけれど、
B社はレッドリスト入り、この会社の全エビ製品に対する輸入警告が発出された。

経済調整大臣はこの件について 「超微量、基準値より全然低い 」と答えていた。
インドネシアの海老輸出先の7割近くがアメリカ向け、その次が日本、中国。
国内消費量は1桁にも満たない。

439コンテナーもの冷凍エビは、国内の年間消費量の何倍にも相当し、
国内では消費しきれない。別の国と交渉して
再輸出するしかないのだが、
これだけ世界中で話題になっている中
アメリカに拒否された大量の冷凍エビはどこへ消えることになるのだろう。

18コンテナーが既にB社に戻ったということと、
問題のあった5コンテナーがまだ港にあり、
439コンテナーはまだ輸送中だということしか
今のところ分からない。

微量の汚染...
これまで全くなかったのかということが
疑わしいような感じがしてならない。

汚染のあったB社は、首都ジャカルタから1時間程度のところにある工業団地。
この工業団地には250社もの、食品、化学、金属など多岐にわたる工場が稼働している。
港へのアクセスのよいところから、輸出企業が多く入居している。

最初に放射能汚染が検出されたのは、B社から3キロ離れた工業団地の周辺にある、
鉄リサイクル工場。

そしてさらに、同じ工業団地にあるスクラップ加工工場でも汚染が検出された。

報道では、金属を加工する際に発生した放射性物質が、
風向きなどによって工場、又は輸送コンテナに付着し汚染を引き起こしたのではないか
と分析されている。

汚染された廃材は、規制をかいくぐって海外から持ってこられたものだと
いうことが分かっている。やっぱりなという感じ。

廃品回収で集めたような廃材を熔解させ、鉄骨などの建材を作る小規模な
鉄リサイクル工場の敷地内からは、700キロもの汚染した鉄材が見つかった。

その他にも、広範囲にわたって10カ所で高い汚染値が検出されているが、
この工場で加工した鉄骨が、建材に使われたことによるものだという
疑いがある。

工業団地内のスクラップ加工工場の方は、
じつは5カ月も前から操業していなかったという。
こういうものは、放置されることで汚染が益々広がるといわれているけれど、
地面は?地下水は?大丈夫なのだろうか。

近隣住民9人に、無症状・軽度の内部被ばくが確認され、治療を受けた。
やはり最も重症なのは、スクラップ加工工場の溶解炉の近くで作業していた
元従業員だ。

長期入院治療や隔離が必要なほどではなく、
ウルトラバイオレット錠剤を
服用しながら通常の生活に戻っているという。

冷凍エビの報道から間をおかず、スラバヤ港から出荷された香辛料にも
セシウムが検出されたというニュースがあった。
こちらの方は、政府の調査では汚染が確認されていないとのこと。

しかし、エビの件で問題になったような”廃材リサイクル工場”というのは
全国どこにでも、昔から存在している。
廃材の輸入が管理されていないのも、今に始まったことではない。

他の海産物や輸出品も、インドネシア産はやばいと
拒否されるようになる風評も懸念される。

原発がないのだから、”廃材の輸入規制・管理を徹底する”
これだけでいいのに…

政府代表としてコメントする経済大臣のあまりに能天気な発言のせいで、
反省の色が見えないだなどと言われているが、
国内の消費者だって、企業だって、困惑していることは確かだ。

専門家も実業家も散々議論し、提案しているが
真剣に議論している人たちに限って、何の権限も与えられていないのは皮肉なことだ...

ここが先進国との大きな違いなんだろう。
輸出をあきらめるのか、相手国の基準に合わせようと真剣に取り組むのか、
今までは曖昧な領域だったけれど、
これからはもう分かれ道になるのかもしれない。

食卓から海老が消えないことを祈る




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