黒いサングラスにベレー帽、白ヒョウ柄のブラウス、違法漁船爆破の陣頭指揮をとる女性大臣。右足脛の入れ墨、ヘビースモーカー、しゃがれた声と豪快な人柄、威勢のよいところがカッコいい。ゴルゴ13のエピソードの一つに描かれたキャラクターのモデルといわれたことのあるスシ海洋水産大臣。 なんでも、メガワティ氏(ジョコウィ氏の所属政党の党首)とのお友達として、大統領になる前のジョコウィ氏と対面した時に、スシ氏が語った”これからの海洋水産行政に関する自論”について、同氏が関心を持ち、2014年に初当選を果たした時の第一次政権で、大抜擢に至ったという。 女性実業家として成功への道のりもユニークだ。高校中退後、故郷の港町で魚の行商からスタートして13年後、輸出用ロブスターの加工工場を設立、大都市の旺盛な需要にこたえて海産品を産地から直送するために、銀行からの借り入で購入したセスナ機一機から空輸業界へと進出、アチェの津波災害時での慈善活動をきっかけに、国内遠隔離島地域に定期便・チャーター便を提供する航空会社へと成長させた。 漁業という粗っぽい業界で培った知識と自信、業界を知りつくしビジネスの成功に裏付けられた大胆で合理的で柔軟な発想と決断力、学者や議員出身の指導者ではこうはいかない。 ”わざわざ爆破しなくても転売すればいいじゃないか”というという政界大御所からのご意見にも決して動じなかった。拿捕した船を放置すれば、安く売買いされて再びすぐにも密漁に使用される。うわべだけの鼬ごっこを避けるためだ。 他にも、ロブスターの稚魚輸出禁止、環境を破壊する漁具の禁止、の大臣令を次々と発令。小規模漁業、海洋資源の保護に対する画期的な活動が認められて世界自然保護基金(WWF)から'Leaders for a Living Planet Awards'を受賞している。 これだけの人気と実績なのだから、2019年にジョコウィ大統領二期目続投が決まった時は、スシ氏も大臣を続投するものと期待されて当然だが、実はそれが叶わなかった。それならせめて彼女の方針を引き継いでくれる人物を後任にと思うがそれも裏切られる。 後任のE氏は議員出身で漁業とはかかわりのない人物。”よいものは継続し、よくないものは改善していく”という就任当初のコメントから嫌な予感がしたものだが、果たしてその通り、密漁船の取締りや爆破...
Oleh I Made Adi Dharmawam - Karya sendiri , CC BY-SA 4.0 , Pranala 世界中の珊瑚の宝庫、絶滅危惧種の生息や貴重な海洋生物が生息する秘境、 世界的なダイビングスポットとして名高いラジャアンパット諸島。 インドネシア 西パプア州の北西端に あたるこの、 真っ青な海に点々と並ぶ小さな島々からなる自然公園は、ユネスコ世界ジオパークにも指定されている。 そんな貴重な世界の財産、最後の楽園で、なんと・・・・ニッケル鉱山採掘が操業していたということが発覚した。 環境保護団体提供の空からの映像によると、森林が伐採された赤土の上をショベルカーが何台も忙しく動き回っている。小さな島だけにその真っ青な海がすぐ近くに見えるような場所だ。 そして鉱物を運び出すための運搬船は、目立たないように自然公園側から見えない位地に停泊しているが、沿岸部はすでに茶色く濁っている。 ラジャアンパットの意味は、4つの王という意味で、無数にある小さな島の中で、最も大きいこの4つの島が地名の由来になっているが、その4つの島を含む複数の島が、現在、ニッケルの採掘場になっているという。 ラジャアンパットを救え! 資源開発省のイベント会場で、副大臣が演説している最中に、プラカードを持った環境保護団体がなだれ込んだことがニュースで報道され、大炎上のきっかけとなった。そして資源開発大臣自らが、驚いた(ふりをして)現地視察にまで出かけなくてはならなくなった。 視察から戻った資源開発大臣は早速、 4社の事業権を即、停止したと発表した。その中には案の定、汚水を海に垂れ流しにしていた企業もあった。 但し、国有企業Aの子会社一社だけが、何故か事業許可剥...