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お米が消えていたのは日本だけじゃなかった

最近お米が美味しくなくなったなあと思って、土鍋で炊いてみたり、ブランドを変えたり色々試していた。そりゃあ日本のお米みたいなわけにはいかないけど、数年前ごろのお米はまだギリギリオニギリの形に固めることもできた。 でも最近のお米は、直ぐバラバラになってしまって、それでいてナシゴレンにしてもくっつきやすくて困る。ナシゴレン、つまりチャーハンにするのが、最終的なお米の救済方法だというのに。 もっと美味しいお米はないものかと思うものの、去年の中頃から2割も値段が上がったし、お米が買えないなんていうニュースも一時期あって、 日本みたいに価格が倍になるまではいってないし、買 えるだけでもありがたいものだと思うことにしていた。 ところが今月、そんな謙虚な庶民の理解心を踏みにじるようなニュースがあった。 農業大臣の市場調査で、店 頭の5kgプレミアム米の殆どが、プレミアムの条件を満たしていなかったということが’発覚した。 プレミアムといっても、これが標準レベルのお米で スーパーのお米はどれも同じような値段だし、 古米、古古米は、普通、別のルートで売られているものという認識。 市場で計りうりのお米もあるけれど、殆どの一般家庭では、スーパーやコンビニで5kg包装のお米を買うのが普通 。 ところがその プレミアム米と書かれたお米の8割が、中身は古米、古古米を混ぜて、又は中身を入れ替えただけの、プレミアムの標準を満たしていなかったということがわかった。 サニア、ラジャ、ウィルマー、フードステーションなんかはジャカルタ市の公営企業なのに。 これじゃあ、どれを買ってもおいしくないのは当たり前だ。 農務大臣によると,、 農家からの買い取り価格が下がり、精米所からの値段も下がっているのに、消費者価格だけが上昇している。米の生産量は過去7年間で最高の収穫量があり、米の在庫が増えているにも関わらずだ。 そこで農業省が行った268ブランドの米のサンプル検査、民間検査機関での検査の 結果、 212ブランドが標準を満たしていないことが明らかになった。 農業大臣は、改善の為の猶予期間を与えたとのことで、この基準を満たさないプレミアム米は、今でも店頭に並んでいるからややこしい。 例えば、このニュースを検索していてあやまってオンラインショッピングのリンクを押してしまうと、その問題のお米の購入ページに飛んでしまうなど...

インドネシア式沈殿コーヒーの楽しみ方

レギュラーコーヒーは、挽き方とか煎り方とか産地だとか 色々あってよくわからない。 コーヒーメーカーどころかフィルターさえ面倒くさいから、 別にインスタントでいい。 インドネシア式の沈殿コーヒーは、そんな人をコーヒーツウに 目覚めさせてしまうかもしれない。 何せ、器具不要、フィルター不要。 インスタントコーヒーと同じように、 コーヒー粉末をカップに入れてお湯を注ぐだけという 世界一手軽に飲めるコーヒーだ。 沈殿式コーヒーのトップブランド 赤と黒のパッケージに船のマークで有名な カパルアピコーヒーの創業話によると、 1920年代にスラバヤ港に移住してきた中国人の兄弟が、 現地の人たちのコーヒー好きなことに驚き、 船の乗組員向けに、独自 のブレンドでお湯を注ぐだけで飲める コーヒー粉を 一杯分ずつ紙に包んで提供したのが始まりだったそうな。 この一杯分の個包装タイプの沈殿コーヒーは 現在でも、コーヒーの基本、庶民の飲み物になっている。 家の軒先を利用した、よく見かける日用雑貨屋さん(ワルン) で一袋買って、お湯を注いでもらって その場で飲むというのが昔からのスタイルで、 建設現場や道端でも、ポットとコーヒーサセットを持って 自転車で売り歩く人を必ず見かける。 疲労回復や、眠気覚まし、集中したいとき、 缶コーヒー感覚で立ち寄る庶民の飲み物。 スーパーで買えば、一杯分の個包装のコーヒーは 一袋3千ルピアぐらいで買える(30円ぐらい?) 最安で飲めるレギュラーコーヒーといえばこれ。 勿論、最近はコンビニコーヒーとかスターバックスコーヒー みたいなちゃんと機械で淹れたコーヒーもあるけれど、 それはまたランクが別という感じで。 淹れ方や入れ物には差があるけど、 どちらもレギュラーコーヒーだし満足度や効果としては そんなに差がないはず。 ネスカフェというブランドのインスタントコーヒーの 個包装タイプもあるけれど、 こちらで、コーヒーといえば基本、沈殿コーヒー レギュラーコーヒーを先に飲み慣れている人が インスタントコーヒーに乗り換えるということは あまりない。 でもあまり頻繁に飲むのは 身体に悪そうだし、 たまに飲むくらいにしないと身体にカフェインが溜まりすぎると コーヒーを飲む効果も薄れてしまう。 そこで沈殿コーヒーを楽しむなら、 カパルアピコーヒーのような個包装タイプがおすすめだ ...

ユネスコ指定公園でニッケル採掘という超愚策‐ EV車ビジネスの自然破壊力

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                                                                       Oleh I Made Adi Dharmawam - Karya sendiri , CC BY-SA 4.0 , Pranala 世界中の珊瑚の宝庫、絶滅危惧種の生息や貴重な海洋生物が生息する秘境、 世界的なダイビングスポットとして名高いラジャアンパット諸島。 インドネシア 西パプア州の北西端に あたるこの、 真っ青な海に点々と並ぶ小さな島々からなる自然公園は、ユネスコ世界ジオパークにも指定されている。 そんな貴重な世界の財産、最後の楽園で、なんと・・・・ニッケル鉱山採掘が操業していたということが発覚した。  環境保護団体提供の空からの映像によると、森林が伐採された赤土の上をショベルカーが何台も忙しく動き回っている。小さな島だけにその真っ青な海がすぐ近くに見えるような場所だ。 そして鉱物を運び出すための運搬船は、目立たないように自然公園側から見えない位地に停泊しているが、沿岸部はすでに茶色く濁っている。 ラジャアンパットの意味は、4つの王という意味で、無数にある小さな島の中で、最も大きいこの4つの島が地名の由来になっているが、その4つの島を含む複数の島が、現在、ニッケルの採掘場になっているという。 ラジャアンパットを救え!  資源開発省のイベント会場で、副大臣が演説している最中に、プラカードを持った環境保護団体がなだれ込んだことがニュースで報道され、大炎上のきっかけとなった。そして資源開発大臣自らが、驚いた(ふりをして)現地視察にまで出かけなくてはならなくなった。 視察から戻った資源開発大臣は早速、 4社の事業権を即、停止したと発表した。その中には案の定、汚水を海に垂れ流しにしていた企業もあった。 但し、国有企業Aの子会社一社だけが、何故か事業許可剥...

元大統領の学歴詐欺疑惑 - 卒業証書偽造の真相は?

真面目に努力した人々の信頼を裏切り、教育制度全体の信用を失墜させる学歴詐欺。これを平気で行うような人物が権力を握ると、それを隠蔽やさらなる不正のために利用することも平気でやってしまうので、世の中が非常に乱れる。さらにそういう訳ありの人物ほど権力の座にしがみつきたがるという傾向があるようだ。 現在インドネシアで最も熱い話題になっているのが、10年間も国の最高責任者を務めたジョコウィ前大統領の卒業証書偽造疑惑。ジョコウィ大統領の人となりについては、これまでも何度か触れたことがあるが、旧体制をぶっ壊すイメージで登場し、国民ではなく、外国の利益のために精力的に大胆に働いたというところが日本の小泉元首相と重なる。 かなり乱暴なやり方で自分の息子を副大統領に当選させただけでなく、国務長官、警察長、最高裁判所長官、汚職撲滅委員会委員長、そしてその他現政権の組閣にも腹心を留任させるというやり方で、ジョコウィ大統領は退任した後も現政権でも強い響力を維持している。 オバマ大統領には、出生地に関する疑惑がつきまとっていたように、ジョコウィ前大統領にも卒業証書の信憑性に関する疑惑が、任期中からつきまとっている(因みに、幼少期をインドネシアで過ごしたというオバマ元大統領とJ大統領には1961年生まれという共通点がある) ジョコウィ前大統領(以下J大統領)は、2005年から2012年まで地元のソロ市で市長を務め、2012年ジャカルタ特別州知事に就任、その2年後、2014年の大統領選挙で初当選、2019年の再選を経て2期目を務めたが、問題になっているのは2019年の出馬の際に、選挙運営委員会に提出し、選挙運営委員会のウェブサイトで公開されている卒業証明書類。 2018年、一般人男性が個人のフェイスブック上で”J大統領の卒業証書には、1980年スラカルタ第6高校卒業と書かれているけれどその高校の創立は1986年。ということは卒業証書は偽物なんじゃないか’ という疑問を投げかけたことが問題になる。  公立学校の設立年という公な情報に基づいた一般人の分析に過ぎない意見にもかかわらず、警察は過敏に反応し、その28歳の男性Kは”嘘の情報を拡散した罪”(情報電子取引法)といういわくつきの法律によって逮捕されている。 その他にも、2017年に出版されたJokowi Undercoverという暴露本がある。その...

インドネシア無料給食プログラム 大量廃棄・集団食中毒連発の現実  

石破首相が支援を約束したことで、日本国民から大変な反感を買っているインドネシアの無料学校給食プログラム。日本では表面的なことしか報道されていないと思うので、現地ではこのプログラムについてどのように報道されているのかについて書く。 無料学校給食プログラムは、現地では (MBG・無料栄養食プログラム)と呼ばれ、無料なだけでなく、貧困地域の学童や妊婦に栄養価の高い食事を提供して、子どもの健康増進や発育阻害の改善を図る、貧富の格差をなくす、という建前だが、これは実施開始半年も経たずしてすでに崩壊している。 ことの発端は、昨年2月に行われた大統領選挙の選挙運動で、プラボゥオ・スビアント候補がこのプログラムを看板政策として掲げたこと。経済成長、雇用創出、地域経済活性化、貧困撲滅、健康医療、さまざまな政策について質問される度に、P大統領はこの政策一本でどの問題も解決できると強調してきた。 インドネシアは、千もの島々から構成される島国、ターゲットとする貧困層というのは、物流が困難な地域であるし、一カ所で大量に調理して配膳するシステムは難しい。できるとすれば、既にある学食や学校近辺の食堂に支援金を渡すことだが、学校の必要経費ですら満足に管理できていない現状を考えると、実現不可能なのでは?と言われていた。 当初の計算は一人当たり15000ルピアで全国民が対象、見積りは5年間で総額450兆ルピア(約28億ドル〈約4兆円〉)という、当時ヌサンタラ都市移転のために必要だと言われていた金額にも匹敵する莫大な金額。貧困者に食事を提供しても食べたら終わり、それよりも雇用創出できる政策に予算を使うことが緊急なはず、国内の経済専門家らは前代未聞の超愚策、自滅策だと評価した。 選挙運動期間中、対立候補側は、この政策の愚かさを指摘し、貧困家庭の奨学制度、教員に十分な給与を支給して質の向上を図るとか、職業訓練など、直接的に雇用を創出できるプログラムを強調するだけで勝てるほど、国民の支持を得ていた(得て当たり前のようにみえた)。 しかし、その選挙結果は予測と全く正反対の無残な結果に終わる。一番人気と言われていた候補者は、史上最低の得票数で敗退した。結果として(どんなに疑わしい方法で勝利を決めたにしても)P大統領が当選したからには、もう問答無用で自動的に実施されるという状況にある。 ”当選という形でこのプログラ...

ソフトバンク撤退後どうなったヌサンタラ新都市移転計画

年に一度の大型休暇大祭明け休暇が終わった。今年は不景気・購買力の減退を反映して、昨年より24%減少、ホテルレストラン協会によれば宿泊率は昨年より二割減だったという。そんな中でも国内の観光地はどこも例年通り賑わっていたそうで、中でも新しい観光地として今年話題になったのが、建設中のヌサンタラ新都市移転計画地。 人口過密や渋滞が深刻化したジャカルタにある省庁などを移転させるとして2022年に着工された場所は、西カリマンタンの何もない僻地。森林を切りひらいて電気も水道も空港も道路も一からすべて建設するという途方もないプロジェクトの現在は、当初から懸念された通りの結果になっている。 昨年8月には一応、独立記念日の式典が行われたものの、9月に一部の政府機能が移転するという話は延期になり、10月に政権交代があったあと、やっぱり首都はジャカルタに戻すという内務大臣による発表があった。さらに新政権は予算の効率化のためとして、2025年度の省庁や地方自治体への予算を大幅に削減、今年の公共事業省の予算は7割も削られた。 ”官庁の無駄な支出をカットして、国民のために使用するのだ”という大統領は言ってはいるが、実際は省庁によって大幅に予算が削られる省とそうでない省といった偏りがあって不透明な決定、削られた省庁も地方も、ただ受け入れる他ない状況だった。 ジョコウィドド大統領は、インフラ開発で経済発展に貢献した、ということになっているけれど、気づいてみれば、バンドン高速鉄道のような収益に繋がらないプロジェクトばかり。 前任のユドヨノ大統領時代に2600兆ルピアだった政府の借金は、ジョコ大統領の十年間で8000兆ルピアにも膨れあがり、今年からその支払いが開始する。 当初、10年前はマスコミの報道に乗せられて庶民の味方だとして大人気だったが、とんでもない疫病神だったことが後になってわかってきた。実は国営建設企業の負債を合わせると、実は、国の借金は12,000兆ルピア超えているという。 このキーワードで検索すると、デジタル情報省によるHoax(偽情報)説明が真っ先に出てくるので確認できないけれど、国営建設企業の負債が膨らんでいることや、支払ってもらえない国営建設企業の下請け中小建設会社の話などの暴露話ならいくらでもある。 ”お願いだから払ってください。家ももう銀行に差し押さえられました女房と子供がかわ...

JFケネディ大統領暗殺事件とスカルノ大統領 とCIA 

”これこそ探し求めていたエルドラードだ!掘り下げなくても道端に金が転がっている。埋蔵量は南アフリカの少なくとも2倍だ!オランダ領西ニューギニア、赤道付近にありながら山頂には氷河をたたえたプンチャックジャヤ山の近くの山脈一つに、オランダの調査団が金脈を発見したのは、第二次世界大戦開戦直前のことだった。 この調査団の報告はオランダ政府によって内密に保持された。タイミングの問題もそうだが、例え掘り下げる必要がないにしても、その場所は四方をジャングルに囲まれた3~4千メートル級の山の上にあり、鉱物を運び出すための道路の敷設など長期的な投資が必要だったからだった。 日本軍が敗退した後の西ニューギニアは、再びオランダによって支配された。地理的に隔絶されていることや、住民の多くがジャングルの中で生活していることもあり、ジャワ島、スマトラ島、スラウェシ島のような団結や激しい抵抗、独立運動は起こらなかった。 ちなみに日本敗戦後に、ジャワ島を中心に起こったインドネシア対オランダの戦争とは、(日本軍から訓練を受けた兵士や日本軍残留兵の協力が一部あったとはいえ)碌な装備も訓練も受けていないサンダル履きに竹槍を握った一般市民が主な戦力、対するは戦艦・戦車や爆撃機をもつ完全装備の正規軍隊の連合軍の命令に従わない形ではじまり、 衝突の度に、敵が百人なら千人、千人なら万人といった犠牲者を出し、都市をまるごと焼き払う作戦にさえ市民がすすんで協力するという団結と熱意、そして後半は日本残留兵も活躍したというゲリラ戦で持ちこたえ、4年たってようやく国際的世論の高まりとアメリカの調停が入ったことによって奇跡的に和平合意に至ったというものだった。 勿論、日本の敗戦後、旧宗主国と戦争になった国はインドネシアだけではない。ベトナムの独立戦争(インドシナ戦争)の場合は8年も続き、しかも調停によって和平どころか南北に分断され、さらにこれが火種となってベトナム戦争が20年も続いた。 それに比べれば、インドネシアが独立できたことは本当に奇跡的ともいえるだろう。冷戦体制の真っ只中で大国の介入が入れば代理戦争の戦場として長期化する恐れが十分にあった。そのときアメリカが調停に入ったのは、混乱した状態が続くことで、共産党勢力が拡大することを恐れたためだといわれている。 しかし、1949年オランダのハーグで行われた平和合意ですべて...