2024年大統領選挙の結果と茶番だった憲法裁判
”国のリーダーであっても法律を無視して自分の家族や仲間のために働くなら、それはマフィアです。また、自分のために国民のお金を使ってばら撒きを行うなら、職務上の倫理を忘れたという点でレジのお金を盗む店番と何処が違うでしょうか。 2月に行われた大統領選挙の結果に対する憲法裁判で、倫理専門家として証言台に立った神父に対し、被告側の弁護士団長は ”データもなく、単なる感情的な訴えは時間の無駄”と薄笑いで応答した。団長からしてこのような態度であることから当然、被告側の弁護士団は、機能や倫理規範など議論する気は毛頭ない。 ”憲法裁判所は選挙の結果を追認する機関にすぎない””大統領が選挙期間中に配った支援物資は選挙の勝敗に関係しなかった”という専門家たちの証言の方こそ、碌なデータもなく時間の無駄のようにみえた。選挙管理委員会側の証人の一人である票集計アプリ開発者などは、”私のような薄給の研究者としては・・・”というところで声が震えてしまい、涙声になるのをこらえるために深い深い溜息をつくという場面があった。 被告側の弁護士団が民事専門家ばかりなのとは反対に、原告側の弁護士団は、元憲法裁判官の弁護士団長をはじめ憲法・法政界の専門家ぞろい。被告側の不手際は、原告側の視聴者にとっては楽しい話題。原告側は、このような裁判沙汰になることは、選挙の前から予測されていただけあって、データが鍵となる重要な証言ではデータが提出され説明も要領を得たものであり、裁判長だって身を乗り出して聞いていたようにみえた。 この裁判に先立ち、経済の専門家や学術界の著名人が署名を提出し、政権の暴走を防ぐことこそが憲法裁判所の機能であること、長い間の独裁政権下で苦しんだ経験と、民主主義者らの尊い血と汗と涙によって勝ち取った制度であること、ここで不正を裁かないことは、不正を承認するのと同じであること、憲法裁判官は、圧力に屈せず勇気をもって専門家として威厳ある判決を下すことを求めていた。 先生方は、大統領にも不正を止めるよう意見書を提出していたが全く何の反応も得ることができなかったが、出身大学や大先輩からの意見は憲法裁判官に対しては影響がありそうな気がする。重大な倫理違反の判決を強行した大統領の義理の弟にあたるウスマン裁判長は、倫理委員会の判決によってこの裁判には参加できなかったことも、原告側には追い風にみえた。 ...