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ジョコ政権下で進んだニッケル採掘の終焉?国軍演習で露呈した違法空港の闇 

中国政府のベルト・アンド・ロード構想の主要プロジェクトの一つ EV車のバッテリー用のニッケル採掘場となったスラウェシ島。 その中部には、その拠点である中国資本の巨大な工業団地 がある。 工業団地の中には、学校や病院があり、 数万人といわれる中国人労働者のための宿舎、発電所、病院、学校、警備まで 企業が一体運営、 ミニ都市状態。 インドネシア人労働者が作業中に事故があっても内部で処理され、 暴動が発生したときも、インドネシア警察は中には入れてもらえなかった。 問題が洩れないように管理され、警察も行政も全く立ち入ることのできない 実質的な”治外法権地帯” 10年前、圧倒的な支持を得て大統領に就任したジョコ大統領は 「鉱石をそのまま輸出すれば、外国の利益になるだけ」 として、鉱石の輸出を禁止、鉱物が欲しければ「インドネシア国内で 精錬して、現地人を雇え」という方針で、鉱物業界は大きく転換した。 しかし、その方針の結果、国内に精錬工場を建設したのは 中国資本ばかり。 政府は、工場法人税30年免除、物品税・輸入税の免除など 様々な優遇策、を提供し、ニッケル鉱山開発を 優先的な国家戦略プロジェクトとして推進した。 環境汚染というリスクを受け入れてでも 外資を呼び込むのだという政府の大義名分は 国内産業を育成すること、現地住民に雇用先を提供すること だった。 ところが、実際は大量の中国人現場作業員が就業し それが現地作業員との紛争の原因にもなっていた。 ”外国人労働者は、高度な技術者だけ”という約束だったはずが、 いつの間にかその人数は、数万人にも上る。 大量の中国人労働者は、どこから入国してくるのか? その謎が、最近になって明らかになった。 この工業団地のすぐ近くに空港があるが、 入管も通関もなしに運営されていたのだ。 このことは、11月末インドネシア国軍がこの空港近くで、 軍事演習を行ったことで明らかになった。 そのときの様子を一部始終を撮影した映像によると、 グリーンのライン、IMIP(工業団地の名前) と書かれた 飛行機が駐泊し、”プライベート空港”と書かれた看板が建っている。 #Bandara Ilegal di Morowali  この飛行機が、企業本社のある中国沿岸部の都市との間を往復し ビザなし、通関なしで、違法に作業員、おそらくは物資も ノーマークで運び...

インドネシアジャカルタバンドゥン高速鉄道に責任追及の動き

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”ルートの距離が短すぎる。短距離では高速鉄道は必要なく、既存の路線で十分です。利益よりも不利益が多くなるでしょう” ジャカルターバンドゥン高速鉄道プロジェクトが、経済的に非採算性が高く、また規制の要件を満たしていないとして、真っ先に反対意見を表明した、当時の運輸大臣イグナチウス・ジョナン氏。 その後、この案件は交通省ではなく、国有企業と中国の案件としてすすめられ、ジョナン氏は、2016年1月の起工式に出席しないことで反対の意志を示し、着工許可の発行に関しても基準を緩めないことなどにより、断固として反対した。 ジョナン大臣は、第一次ジョコ政権の大臣の中で、スシ漁業大臣と並んで国民に人気のあった人物。国営鉄道会社PT KAIのCEO時代に、会社の体質やサービスを劇的に改善させたことで知られ、誠実な人柄で知られていたが、やはりその通りだったと惜しまれながらも、半年後の閣僚改造でジョナン氏は運輸大臣から解任された。 ジョナン大臣が解任させられた後、大統領宮殿に呼び出された、公共政策アナリストのアグス・パンバギオ氏は、そのときの大統領との会話について次のように証言している。 「採算がとれません。国家に損害を与えることになるでしょう」と警告すると、大統領は「赤字にならないようにできるよ」「ハイテク技術だし、この国にとって必ず良いものになる。中国政府のサポートがある」 「このアイデアは誰からでたのですか?」と尋ねると、大統領ははっきりと 「これは私のアイデアだ」と答えたという。 周囲の意見を全く受け付けなかったジョコ大統領の当時の様子。さらに、複数の専門家がこの問題を取り上げ、発注金額が他の中国企業の海外での高速鉄道建設費と比較して、「3倍もの値段で計算されていた(水増し)されていたこと、費用が膨らんだ最大の要因となった ルート変更と土地収用費用の激増は、ジョコ大統領と近い関係にある企業家に利益をもたらしたことについても、議論されている。 これまで一部の批評家が追及するにすぎなかった、ジャカルタ―バンドゥン高速鉄道プロジェクトの巨額の負債に関するニュースにこれほど注目があつまっているのは、利息を含む負債の支払いがいよいよ本格化することから。 そんな中、来年度の予算会議では、プルバヤ財務大臣が、「債務返済について、政府がその責任を負うべきではない」原則を表明した。 プルバヤ氏という...

同じ演説を聞いたことがある...高市早苗氏の就任演説に背筋が寒くなった理由

最近世界各国で起こっている大きなデモや暴動のニュースをみてみると、 キッカケはそれぞれ違っても、腐敗した政府対国民の怒りという構図は同じ。 途上国だけでなく、先進国も。  期待されていない人が勝利する怪しい選挙。 大抵はもうその時点から、次に起こる悲劇は目に見えている。 一つの国でウォッチングすれば、ニュースを聞くだけで 何が起こっているのかおおよそのことは想像できる。 こういう仕組みに国境はない。 どこの国の話もどこか似ている。 お天気の話より共有できる世界共通の話題。 日本では、高市早苗氏が自民党総裁に選出された というのは、久々の明るいニュース。 JNN最新の世論調査によれば、高市氏に「期待する」 と答えた人が66%だというし、前任者よりずっと良さそうだ。 長い暗黒の時代。直接投票できるわけではないから、 本当に歯がゆいのだけれど、期待できるとひとが選ばれて本当によかったと思う。 少なくともコミュニケーションは向上しそうだ。 それは、気迫のこもった就任演説で既に感じられた。 世襲の政治家ではないということも 今までにない、新しい変革を起こしてくれるような期待感を抱かせてくれる。 現時点でより良い選択だということは確かかもしれない。 でも、その就任演説を聞いていて、 思い出したのは、 昨年、2期、10年の任期を終えたジョコ元大統領の 最初の大統領就任の演説。 「働く、働く、働く」「働かない大臣はクビにする」 高市氏が、全く同じことを言っているのを聞いて 背筋が寒くなった。 ジョコ元大統領も、庶民の出身。これまでのようなエリート一族の出身でないというところが注目されていた。 今にして思えば、当時のマスコミの持ち上げ方が異常だったかもしれない。当時のイメージは誰に聞いても無茶苦茶良かった。 「働くための組閣」として最初の人選は中々良かった。違法漁猟船を沈没させることで有名な、スシ海洋漁業大臣が話題になったのもその頃。 パプア州にも道路ができて、開通式には大型バイクで試走。着用したジャケットも靴も国産の中小メーカー。このニュースの後、注文が殺到するという地方活性策もさすがビジネスマン、話が早い、という感じだった。 ヒリリサシが何なのかはよくわからないけど、白いシャツの袖をまくり上げて、黄色いヘルメット姿で視察する姿はまさに活動的な大統領だというイメージだった。...

元大統領の学歴詐欺疑惑 - 卒業証書偽造の真相は?

真面目に努力した人々の信頼を裏切り、教育制度全体の信用を失墜させる学歴詐欺。これを平気で行うような人物が権力を握ると、それを隠蔽やさらなる不正のために利用することも平気でやってしまうので、世の中が非常に乱れる。さらにそういう訳ありの人物ほど権力の座にしがみつきたがるという傾向があるようだ。 現在インドネシアで最も熱い話題になっているのが、10年間も国の最高責任者を務めたジョコウィ前大統領の卒業証書偽造疑惑。ジョコウィ大統領の人となりについては、これまでも何度か触れたことがあるが、旧体制をぶっ壊すイメージで登場し、国民ではなく、外国の利益のために精力的に大胆に働いたというところが日本の小泉元首相と重なる。 かなり乱暴なやり方で自分の息子を副大統領に当選させただけでなく、国務長官、警察長、最高裁判所長官、汚職撲滅委員会委員長、そしてその他現政権の組閣にも腹心を留任させるというやり方で、ジョコウィ大統領は退任した後も現政権でも強い響力を維持している。 オバマ大統領には、出生地に関する疑惑がつきまとっていたように、ジョコウィ前大統領にも卒業証書の信憑性に関する疑惑が、任期中からつきまとっている(因みに、幼少期をインドネシアで過ごしたというオバマ元大統領とJ大統領には1961年生まれという共通点がある) ジョコウィ前大統領(以下J大統領)は、2005年から2012年まで地元のソロ市で市長を務め、2012年ジャカルタ特別州知事に就任、その2年後、2014年の大統領選挙で初当選、2019年の再選を経て2期目を務めたが、問題になっているのは2019年の出馬の際に、選挙運営委員会に提出し、選挙運営委員会のウェブサイトで公開されている卒業証明書類。 2018年、一般人男性が個人のフェイスブック上で”J大統領の卒業証書には、1980年スラカルタ第6高校卒業と書かれているけれどその高校の創立は1986年。ということは卒業証書は偽物なんじゃないか’ という疑問を投げかけたことが問題になる。  公立学校の設立年という公な情報に基づいた一般人の分析に過ぎない意見にもかかわらず、警察は過敏に反応し、その28歳の男性Kは”嘘の情報を拡散した罪”(情報電子取引法)といういわくつきの法律によって逮捕されている。 その他にも、2017年に出版されたJokowi Undercoverという暴露本がある。その...

ソフトバンク撤退後どうなったヌサンタラ新都市移転計画

年に一度の大型休暇大祭明け休暇が終わった。今年は不景気・購買力の減退を反映して、昨年より24%減少、ホテルレストラン協会によれば宿泊率は昨年より二割減だったという。そんな中でも国内の観光地はどこも例年通り賑わっていたそうで、中でも新しい観光地として今年話題になったのが、建設中のヌサンタラ新都市移転計画地。 人口過密や渋滞が深刻化したジャカルタにある省庁などを移転させるとして2022年に着工された場所は、西カリマンタンの何もない僻地。森林を切りひらいて電気も水道も空港も道路も一からすべて建設するという途方もないプロジェクトの現在は、当初から懸念された通りの結果になっている。 昨年8月には一応、独立記念日の式典が行われたものの、9月に一部の政府機能が移転するという話は延期になり、10月に政権交代があったあと、やっぱり首都はジャカルタに戻すという内務大臣による発表があった。さらに新政権は予算の効率化のためとして、2025年度の省庁や地方自治体への予算を大幅に削減、今年の公共事業省の予算は7割も削られた。 ”官庁の無駄な支出をカットして、国民のために使用するのだ”という大統領は言ってはいるが、実際は省庁によって大幅に予算が削られる省とそうでない省といった偏りがあって不透明な決定、削られた省庁も地方も、ただ受け入れる他ない状況だった。 ジョコウィドド大統領は、インフラ開発で経済発展に貢献した、ということになっているけれど、気づいてみれば、バンドン高速鉄道のような収益に繋がらないプロジェクトばかり。 前任のユドヨノ大統領時代に2600兆ルピアだった政府の借金は、ジョコ大統領の十年間で8000兆ルピアにも膨れあがり、今年からその支払いが開始する。 当初、10年前はマスコミの報道に乗せられて庶民の味方だとして大人気だったが、とんでもない疫病神だったことが後になってわかってきた。実は国営建設企業の負債を合わせると、実は、国の借金は12,000兆ルピア超えているという。 このキーワードで検索すると、デジタル情報省によるHoax(偽情報)説明が真っ先に出てくるので確認できないけれど、国営建設企業の負債が膨らんでいることや、支払ってもらえない国営建設企業の下請け中小建設会社の話などの暴露話ならいくらでもある。 ”お願いだから払ってください。家ももう銀行に差し押さえられました女房と子供がかわ...

大橋を渡ったらそこはC国だった 血も凍る土地収奪キャンペーン

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ジャカルタ西沿岸部の大橋を渡り終えると、そこはまるで別の国のよう。大通り沿いは完成したばかりの全く新しい大型の建造物が整然と並んでいて、一般庶民の移動手段であるオートバイ一台走っていない。右を見ても左を見ても看板の文字が全てC国語だけであるところをみると、ここはインドネシア人向けの街でない。 日本やシンガポールでもC国人移民が増えているというけれど、ここの場合は都市ごと引っ越してきたみたいな感じだ。インドネシア語をみかけることができるのはフードコートの看板ぐらい。そのフードコートの屋根や門の装飾も本場のC国そのもの。道の真ん中に置かれたアイコンの彫像も金の龍。 区画につけられた名前は、マンハッタン、ブルックリン、レジデンスアムステルダム、フロリダ、カリフォルニア、トウキョウ、オオサカ、オキナワ...海岸公園の名前はアロハ  ジャカルタの西側、スカルノハッタ空港から10分の距離この県は、伝統的な礼拝所が多い漁師町で人口過密地帯だったところ。オランダに服属されるまで300年近くイスラム教の王国があったところだが、何故突然、C国都市に変身してしまったのだろうか。 反対運動の第一人者である元国有企業省副大臣サイドディドゥ氏の話をまとめてみた。ディドゥ氏が、現地を訪れて住民の声を代弁するようになったのは昨年4月、政府がPIK2を国家戦略プロジェクトとして認定したときからだった。 PIK2とは、インドネシアの経済を牛耳ることで知られている中国人実業家9人の一人A氏のコングロマリット企業による不動産開発プロジェクトの名称。A氏と、10月で任期を終えたばかりのJ元大統領との蜜月な関係は、以前からよく知られている。民間事業として既に進められていたPIK2が、突然、国家戦略プロジェクトに認定されたのは政治的な意図が隠されていることは間違いない。 国家戦略プロジェクトとは、国家的に重要なインフラ建設事業であると政府が認めた案件に対し、政府が、特別な許可や土地収用などの優遇措置を与える制度。 スラウェシ島のニッケル鉱山精錬所開発や、バンドン高速鉄道など、(実態はどうであれ、形だけでも)計画の段階では、少なくとも時間をかけて検討され、開発均衡・雇用創出など何らかの社会的な利益があるものでなければならない。 PIK2は民間の不動産開発なので、国家戦略と銘打つには無理がある。政府が国家戦略プロジ...

2024年世界腐敗支配者ランキングにジョコウィドド元大統領ランクイン

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国際的な調査報道ネットワークOCCEP(組織犯罪と腐敗報道プロジェクトが発表した、2024年の世界腐敗人物ランキング第二位にインドネシアの7代目大統領、ジョコ・ウィドド元大統領がランクインした。 1.ケニアのウィリアム・ルト大統領 2.インドネシアのジョコ・ウィドド元大統領 3.ナイジェリアのボラ・アハメド・ティヌブ大統領 4.バングラデシュの元首相シェイク・ハシナ 5.インドの実業家ガウタム・アダニ 同組織は、2016年に世界を震撼させたパナマ文書、世界中の政治家や富裕層が、タックスヘイブン(租税回避地)を利用して巨額の資産を隠していた実態を暴き出しの調査報道において重要な役割を果たした世界中のジャーナリストの組織。 世界的に腐敗で名を知られた二代目大統領のスハルト元大統領以来、インドネシアでは二人目の、汚職で世界的に名を知られる元大統領となった。過去には、ベラルーシのルカシェンコ大統領、ブラジルのボルサナロ大統領、などもランキングされた調査とのことだが、果たしてどうなるか。 この調査では、汚職金額だけでなく、組織的犯罪、不正選挙、人権侵害、自然破壊、への関与度も評価の対象になる。2025年から消費税が12%になる。生活必需品は増税しないと政府は説明しているが、一体どうなることやら。 明るいニュースに乏しい中、ジョコウィドド氏のランクインは、国民にはささやかな朗報として受け止められている。 ランクインの 感想を報道陣に尋ねられても、いつも通り笑顔ですっとぼけるジョコウィドド元大統領

インドネシア地方首長選挙の真相 ジャカルタでは勝てなかった元大統領の支持する候補者

11月27日に行われたインドネシア全国統一地方首長選挙について、日本語メディアでは ”大統領と元大統領の支持する候補者が勝利”という点に焦点をあてた形で報道されているが、これは、2024年の大統領選挙戦からの流れを抜きにしては理解することができない。 まず、スハルト独裁政権崩壊後、民主化時代の歴代大統領が、自らの後継者を決める大統領選挙や、地方首長選挙に介入し、自身の側近や身内をゴリ押しするというようなことはこれまでになかった。 後の政権の負担にならないよう、重要な決定や人事も、退任間近になれば控えるのが最高権力者としての威厳というもの。少なくとも6代目ユドヨノ大統領は中立の立場を通した。しかし、7代目大統領のジョコ氏は違う。 自身の後継者を決める大統領選挙の選挙運動機関、2023年の後半ごろから始まったジョコ氏の権力の乱用とは、国家予算の私物化、地方首長や警察を動員、ばら撒き・恐喝、データの操作・・・ そのような暴走を許さないという理想に基づいて設置されているのが憲法裁判所だが、現職大統領の違法行為に対しては無力であるということが明らかになった。不正選挙は判決によって証明されず、現役大統領の推薦するプラボゥオ氏とジョコ氏の長男が政権を握ることになった。 2024年大統領選挙の結果と茶番だった憲法裁判 残りの大統領任期中を通し、ジョコ氏は選挙関係のある政府機関の報酬アップや表彰、人事の入替えを次々と行った。さらに、自然破壊・国土縮小につながる砂の輸出許可や、実業家の利益にしかならない大規模土地開発を国家プロジェクトに認定すると、国家機関による強制的な土地の取り上げと、地元民との間の紛争が、これまでもあったが更に激しくなった。 その目的は、選挙に協力した側に約束された報酬、又は恩を売る行為であることは明らかで、この報道と同時進行で、ヌサンタラ首都移転計画の杜撰さ、違法鉱山開発の実態、経済効果のない対外債務を無責任に膨らませたこと、大臣や税関職員の汚職の実態も次々と暴露された。 国民はもう以前のように”ジョコウィ大統領”と呼ばなくなった。ジョコ氏が幼い頃、病弱であったために改名したというエピソードを引用し、改名する前の#Mulyonoという名前で呼び捨てにするのがネット民の隠語になっている。 ジョコ氏は、10月で大統領の任期を終えた後、その後もプラボウォ氏を通して権力を...

実はがっつり中国化だったインドネシアの川上化政策

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 北京で習近平国家主席とがっちり握手、次期大統領として迎え入れられたプラボウォ国防相。国防分野で協力し、両国の協力関係を更に強化すると言っているが、国民の側にしてみればこれは全然話が違う。”私は愛国者、国を守る”と選挙の時しきりに強調していたのと全く正反対の言動だ。侵略する意図を持つ国の軍隊と協力するというのは一体どういうことなのか訳が分からない。 少なくとも国民の多くは、これまでインドネシアが中国と友好な関係にあったと思っていない。労働者を大量に送り込み、国内の雇用機会を奪う迷惑な存在だ。雇用拡大経済効果を謳った国家プロジェクトなのに、現地人を差し置いて彼らが大量にやってきて、高い給料をもらって威張っている。コミュニケーションをとろうともしないし、マナーもよくない。カモにされてるのは日本だけじゃない。 パンデミック中、バンドン高速鉄道やニッケル精錬所で働くため外国人が大量に入国していたことは、何度も大きな騒ぎになった。その度に”あれは高度な技術者、国内にはない技術の専門家だ”と説明するルフット投資海洋調整大臣といえば、中国政府の回し者として有名。パンデミック対応予防注射の指揮をとったのも、不要不急のEV車に補助金をねじ込んだのもこの人物。(勿論、大臣自身の個人的なビジネスが関係している)”政府の悪口を言う奴は国から出ていけ”という発言が物議をかもしたこともある、強面のタカ派。 庶民の味方であるジョコウィ大統領が、その正反対のルフット調整大臣をそんなにも信頼し、重要な案件を一任するのかということについて表立った批判はなかった。イメージというのは恐ろしいもので、汚職撲滅委員会の権限を弱体化させる法律も、外国企業に有利な内容が盛り込まれた雇用創出法も、一部学生や労働組合が声をあげていたが、調査によれば、ジョコウィ大統領の支持率にはあまり影響がなかった。 (日本にもかつてこういうタイプの首相がいた、そういえば、目つきや顔つき、息子の愚かさまで、似ている。小泉劇場ならぬ、ジョコウィ劇場だ) ところで、次期大統領は一体いつ確定するかについて、先に話題になっていた国会における不正選挙追及は未だ実現しておらず、憲法裁判所での訴訟の方が先に始まっている。他の大統領候補者二名はそれぞれ憲法裁判所に訴訟を起こし、アニス候補陣営は、出馬登録の時点から違反のあったジョコウィ大統領の...

ゴルゴ13に描かれたスシ海洋漁業大臣 ‐任期中に襲った悲劇とその後

 黒いサングラスにベレー帽、白ヒョウ柄のブラウス、違法漁船爆破の陣頭指揮をとる女性大臣。右足脛の入れ墨、ヘビースモーカー、しゃがれた声と豪快な人柄、威勢のよいところがカッコいい。ゴルゴ13のエピソードの一つに描かれたキャラクターのモデルといわれたことのあるスシ海洋水産大臣。 なんでも、メガワティ氏(ジョコウィ氏の所属政党の党首)とのお友達として、大統領になる前のジョコウィ氏と対面した時に、スシ氏が語った”これからの海洋水産行政に関する自論”について、同氏が関心を持ち、2014年に初当選を果たした時の第一次政権で、大抜擢に至ったという。 女性実業家として成功への道のりもユニークだ。高校中退後、故郷の港町で魚の行商からスタートして13年後、輸出用ロブスターの加工工場を設立、大都市の旺盛な需要にこたえて海産品を産地から直送するために、銀行からの借り入で購入したセスナ機一機から空輸業界へと進出、アチェの津波災害時での慈善活動をきっかけに、国内遠隔離島地域に定期便・チャーター便を提供する航空会社へと成長させた。 漁業という粗っぽい業界で培った知識と自信、業界を知りつくしビジネスの成功に裏付けられた大胆で合理的で柔軟な発想と決断力、学者や議員出身の指導者ではこうはいかない。 ”わざわざ爆破しなくても転売すればいいじゃないか”というという政界大御所からのご意見にも決して動じなかった。拿捕した船を放置すれば、安く売買いされて再びすぐにも密漁に使用される。うわべだけの鼬ごっこを避けるためだ。 他にも、ロブスターの稚魚輸出禁止、環境を破壊する漁具の禁止、の大臣令を次々と発令。小規模漁業、海洋資源の保護に対する画期的な活動が認められて世界自然保護基金(WWF)から'Leaders for a Living Planet Awards'を受賞している。 これだけの人気と実績なのだから、2019年にジョコウィ大統領二期目続投が決まった時は、スシ氏も大臣を続投するものと期待されて当然だが、実はそれが叶わなかった。それならせめて彼女の方針を引き継いでくれる人物を後任にと思うがそれも裏切られる。 後任のE氏は議員出身で漁業とはかかわりのない人物。”よいものは継続し、よくないものは改善していく”という就任当初のコメントから嫌な予感がしたものだが、果たしてその通り、密漁船の取締りや爆破...

ゴールド高騰の影で消えていた漁村 ードキュメンタリ映画ー東からの風ーより

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 自分たちの足で各地を巡り、低予算でインドネシアの今を取材するカメラマンとジャーナリストの自主製作ドキュメンタリー映画。南極海からの海流が打ち寄せるジャワ島南沿岸と、首都移転が計画されているカリマンタン島とジャワ島の中間にあたる北側のカリムンジャワ島に取材し、美しい海と地元の漁師さんたちの人間模様のスケッチを通して、彼らの直面している厳しい現実に踏み込んでいく。 (以下、なるべく映画のストーリーに従って要点を追い、最後に感想を書く) ジャワ島中部南側の都市ジョグジャカルタ郊外の山が背後に迫る美しい入江。東からの風が吹く季節は波が高くて漁に出られない。昔は乾季と雨季がはっきりしていたものだが、最近は天気の予測が難しく、いつ漁に出れるのか見通しがたてられない。 内側が青色に塗られた小舟が並んでいる。観光客やカメラマンを惹きつける美しい光景だが、その内実、漁師さんたちが昔のように漁業だけで生活していくことは難しい。農業や建設現場の手伝いなどの臨時の副業をしてなんとか日々をしのいでいる。 ジャワ島北側カリムンジャワ島の魚市場では、魚を売りに来た漁師が借金を差し引いたわずかな報酬を受け取る。この魚屋さんでは、漁師さんたちにとってなくてはならない燃料と水を後払いで先に使わせてくれる。”じゃなきゃ誰も漁に出られないわよ”と、島の漁師さんたちの悲喜こもごもを語る魚屋のおかみさん。 天候の問題の他にも、 燃料が入手できるかどうかという死活問題がある。安い補助金付きの燃料を購入するためには、その度に複雑な手続きが要求される。その一方で供給業者は、漁師に売るよりも、本来は買う資格のない企業などへの横流しを優先したり、又売りが横行したり。 大きな運搬船が補助金付き燃料を給油するために、この小さな島近くに停泊するようになったのは2年前。その海域に潜って調べてみれば、確かにサンゴ礁はもう白化してしまっている。昔の映像と比べてそれが明らかなのが分かったところで、漁師さんたちにできることといっては、停泊中の運搬船を苦い思いで眺めることぐらいだ。 島のエコシステムが悪化しているのは沖だけでない、岸辺のマングローブの森も水質汚染によって一部が、魚の住めない泥沼と化してしまった。原因は、山を切り開いて建てられたエビの養殖所から垂れ流しにされる排泄物やえさの残りなど。 自然保護区内を管理する自然保...

息子の贅沢自慢でバレた国税局幹部汚職の実態

 ”死人なんか怖くねえぞ”  うずくまって既に動けなくなっている17歳の高校生に一方的な暴行を加えながら言った言葉の意味は、親父がなんとかしてくれるから警察なんかこわくないという意味だったのだろうか。 先月、南ジャカルタの住宅街、人けのない路上で発生した暴行傷害事件。被害者少年を呼び出して暴行を加える一部始終を友人に録画させていたという加害者青年20歳の異常さとあさはかさ、そして逮捕されても全く反省の色が見えない傲慢な態度は、彼の父親が国税職員という情報ともに大炎上。 そして加害者青年が、度々ソーシャルメディア上で披露していた、高級ジープやハーレーダビットソンを乗り回す映像から、ネット民が推定した金額と、彼の父親が属する公務員レベルの月収の比較分析から、その不釣り合い具合に注目が集まる。 潔癖で収税目標を守ることに厳格ということで知られるスリムルヤニ財務大臣は、これに応答し、納税者の信頼を取り戻すべく徹底的な調査を約束。日を開けず、公開された情報によると、納税者には厳しく追及されるような違反の数々をR自ら長期に渡って行っていたということがわかった。 分かりやすいところではまず、Rが所有していた、南ジャカルタ、ジョグジャカルタ、マナド、にあるプールやジム完備の広大な大邸宅。納税額が年間たったの36万ルピア(三千円程度)というのはいくらなんでもやりきれない。そして息子が乗り回していた高級車両も、辿ってみれば支援金を受給している生活困窮者の住所が利用されていた。 他にも、公務員として登録された金額をはるかに上回る隠し資産も発覚し、関連する40口座が凍結され、慌てて移した銀行の金庫の現金も没収された。Rは懲戒免職処分となり、現在、汚職撲滅委員会によって調査が続いている。 大臣はまた、さらに贅沢な暮らしぶりをソーシャルメディアで披露している職員について市民からの通報を奨励。職員限定の大型バイク愛好会のコミュニティーは、汚職のためのロビー活動とみなされかねないとして、大臣によって解散させられた。 通常、税関係の汚職はあってもこれほどの国民的大ニュースになることはあまりない。10年前に租税総局職員Gayus Tambunanの汚職事件があったが、それに比べると報道される金額も桁違いに多い、さらにR単独の犯行としてだけではなく、財務省内部の大規模な汚職ネットワークの存在につ...