ショベルカー2千台上陸で消滅危機最後の楽園 バイオ燃料促進の行き先
縄文時代の終りは、狩猟採取から稲作を中心とした生活スタイルの変化に関係するというけれど、インドネシアのパプア州には現在でも、狩猟採取で自給自足の生活を送っている300もの部族が存在する。 彼らの主食は、サゴヤシ。熱帯雨林のジャングルの中のいたるところに生息し、切り倒した後の根から新芽が出てくるから、植え付けも必要なし。天候に左右されず、肥料も農薬もいらず、草刈もりもいらない。 サゴヤシから取り出した澱粉を水で溶いて葛湯のようにして、魚のスープなどを添えて食べる。グルテンフリーで消化がよい、血糖値の急激な上昇を抑えるなど、身体によいことばかり。ご飯とは違った満腹感があって、胃の負担が軽い。 そんなお粥みたいな食事、病人でもあるまいし、と思うかもしれないが、伝統的にサゴヤシを主食とするスラウェシ州のマルク人は、精神的にも肉体的強靭、優秀な兵士であったことで知られている。 1本のサゴヤシから100キログラムの澱粉がとれる効率の良さ。異常気象やら農業労働者の不足などに左右されない。サゴヤシを主食としている限り、買い占められることもなく、価格の高騰に苦しむこともない。 気候変動、食料不足が社会的懸念がこれからますます深刻化するであろうといわれる現代ににあってサゴヤシ澱粉が、脚光を浴びるのであればどんなにいいことだろう。しかし、サゴヤシの生息する熱帯雨林のジャングルは、鉱物資源採掘や油ヤシ農園への転用などによって激減の一途をたどっている。 インドネシアの法律では、熱帯雨林は伝統的な生活する人たちのために保護しなければならず、開発は環境への影響を考慮して慎重に行わなければならない。しかし、法律の抜け穴をついて経済的な利益を独占しようとする事業家が昔から後を絶たない。 アブラヤシ油は、世界で最も安い低価格の油、スナック菓子やチョコレート、アイスクリームやマーガリン、調味料や石鹸、ボディソープや化粧品など、植物性油脂として世界各国の工業原料として確実な需要がある。 低価格の理由は、単位面積当たりの集油量が高いこと、手間をかけずに大量に収穫できる。そして輸出による収益が期待できることから、資本家/政治家はより広い土地を占有しようとし、自然保護区の森林に手を伸ばす。 一時期深刻な問題だったシンガポールで深刻な煙害(ヘイズ)を度々発生させるカリマンタン島やスマトラ島の森林大火災が、貧しい農...