ソフトバンク撤退後どうなったヌサンタラ新都市移転計画
年に一度の大型休暇大祭明け休暇が終わった。今年は不景気・購買力の減退を反映して、昨年より24%減少、ホテルレストラン協会によれば宿泊率は昨年より二割減だったという。そんな中でも国内の観光地はどこも例年通り賑わっていたそうで、中でも新しい観光地として今年話題になったのが、建設中のヌサンタラ新都市移転計画地。
公共事業省の削られた予算のうちの半分が、ヌサンタラ都市建設工事のための予算、そして新規の公共事業プロジェクトが軒並み延期になったということは、国家プロジェクトに依存する国営建設企業は益々ヤバいことになりそうだ。実際、新首都庁の口座は今年初めから凍結されているという。
首都移転プロジェクト(IKN)で検索してみると、IKN建設の進捗が順調に進んでいて将来有望であるかのようなストーリーと、シンボルのガルーダ広場以外の、別の角度から撮影したIKNはまだ建設途中の建物ばかりだったり、洪水で泥水が溜まっていたり、雑草が生えてきたりと、ありのままの様子を伝えるものが混在している。
その一つが民間企業の不動産開発を国家戦略プロジェクトとしたPIK2問題。ソフトバンクが撤退してから、ジョコ大統領はシンガポールやマレーシア、サウジアラビアに行って、超優遇条件で安売りしようとしたが、投資家は見つからなかった。これでは恰好が付かないということで、相談したのが9ナガ(インドネシア政府に大きな影響力を持つ中国系コングロマリット経営者9人を示す)の一人である企業家A。
集客が見込めないのを承知でヌサンタラに一流ホテル建設する代わりに、ジャカルタ西側でA企業が進めている臨界住宅開発を国家プロジェクトに認定し、特別待遇、民間企業プロジェクトなのに、国の予算が割り振られるという異例の措置の背景には、こんなディールがあったという。
#Agun sedayu group dan jokowi
IKNヌサンタラは、汚職のモニュメントとして訪れてみたいポテンシャルな観光スポットになっている。現地新都市庁も、EVバスでの見学ツアーを用意して観光促進を歓迎しているとのこと。
#Bus trip Balikpapan ‐ IKN
大橋を渡ったらそこはC国だった 血も凍る土地収奪キャンペーン
人口過密や渋滞が深刻化したジャカルタにある省庁などを移転させるとして2022年に着工された場所は、西カリマンタンの何もない僻地。森林を切りひらいて電気も水道も空港も道路も一からすべて建設するという途方もないプロジェクトの現在は、当初から懸念された通りの結果になっている。
昨年8月には一応、独立記念日の式典が行われたものの、9月に一部の政府機能が移転するという話は延期になり、10月に政権交代があったあと、やっぱり首都はジャカルタに戻すという内務大臣による発表があった。さらに新政権は予算の効率化のためとして、2025年度の省庁や地方自治体への予算を大幅に削減、今年の公共事業省の予算は7割も削られた。
”官庁の無駄な支出をカットして、国民のために使用するのだ”という大統領は言ってはいるが、実際は省庁によって大幅に予算が削られる省とそうでない省といった偏りがあって不透明な決定、削られた省庁も地方も、ただ受け入れる他ない状況だった。
当初、10年前はマスコミの報道に乗せられて庶民の味方だとして大人気だったが、とんでもない疫病神だったことが後になってわかってきた。実は国営建設企業の負債を合わせると、実は、国の借金は12,000兆ルピア超えているという。
ジョコウィドド大統領は、インフラ開発で経済発展に貢献した、ということになっているけれど、気づいてみれば、バンドン高速鉄道のような収益に繋がらないプロジェクトばかり。
前任のユドヨノ大統領時代に2600兆ルピアだった政府の借金は、ジョコ大統領の十年間で8000兆ルピアにも膨れあがり、今年からその支払いが開始する。
このキーワードで検索すると、デジタル情報省によるHoax(偽情報)説明が真っ先に出てくるので確認できないけれど、国営建設企業の負債が膨らんでいることや、支払ってもらえない国営建設企業の下請け中小建設会社の話などの暴露話ならいくらでもある。
”お願いだから払ってください。家ももう銀行に差し押さえられました女房と子供がかわいそう…” と、国会委員会での証言者の席で泣き崩れていた下請け建設業者の社長。国営企業の大プロジェクトヌサンタラで下請けを受注するために銀行から借り入れを起こし、完成させたがまだ払ってもらえていないという。
#korban bumn istaka karya ke dpr
投資家がみつからない。汚職政治家が群がっている。予算不足分を、国有企業の負債で補っていた?実際、ジョコウィドド大統領のインフラプロジェクトを請け負った主要な国営建設企業は軒並み巨額の債務に苦しんでいる。
公共事業省の削られた予算のうちの半分が、ヌサンタラ都市建設工事のための予算、そして新規の公共事業プロジェクトが軒並み延期になったということは、国家プロジェクトに依存する国営建設企業は益々ヤバいことになりそうだ。実際、新首都庁の口座は今年初めから凍結されているという。
首都移転プロジェクト(IKN)で検索してみると、IKN建設の進捗が順調に進んでいて将来有望であるかのようなストーリーと、シンボルのガルーダ広場以外の、別の角度から撮影したIKNはまだ建設途中の建物ばかりだったり、洪水で泥水が溜まっていたり、雑草が生えてきたりと、ありのままの様子を伝えるものが混在している。
ガルーダ宮殿の金属の色が変わり始めたとか、完成したばかりの空港が大洪水で使えない、”雑草が生え始めたとか、ついには鳥の住処になっているなど、という話はこれまであったが、今年連休明けに訪れた観光客による最新の情報では、”でっかいネズミ”が走り抜けるのを何度も見かけたという。
#Ibu kota nusantara diserang Hama tikus
#Ibu kota nusantara diserang Hama tikus
ネズミというのは、こちらでは汚職政治家や官僚・公務員の象徴。民主主義や福祉の象徴である国章ガルーダの着ぐるみを着たネズミの風刺画が描かれたりもする。普通は、観光地でネズミなんか見かけたら不快なだけだが、IKNがネズミの住処になっているというのは、どこか教訓めいていて、動画のネタにはちょうどいい。
#Tikus bebaju galuda
でもそこに住むとなるとホラーでしかない。新首都庁は、さっそくネズミ退治を実施すると言っていたが、一度退治して解決するものでもなさそうだ。なんでわざわざこんなところに首都を移転させることになったのか。移転したら移転したで、そういう特殊なメンテナンスの他、巨額の電気代や維持費を国家予算に依存することになる。
でもそこに住むとなるとホラーでしかない。新首都庁は、さっそくネズミ退治を実施すると言っていたが、一度退治して解決するものでもなさそうだ。なんでわざわざこんなところに首都を移転させることになったのか。移転したら移転したで、そういう特殊なメンテナンスの他、巨額の電気代や維持費を国家予算に依存することになる。
削減された予算が別のばら撒きプロジェクトに使われる可能性が大だとしても、IKNの建設に使われるよりはずっとマシだ、と国民の多くは考えている。ジョコウィドド大統領が、この野心的なプロジェクトを頓挫させないために、国有建設企業に巨額の負債を負わせただけではなく、他のいくつもの超大型汚職事件に係わっていた疑いがある。
その一つが民間企業の不動産開発を国家戦略プロジェクトとしたPIK2問題。ソフトバンクが撤退してから、ジョコ大統領はシンガポールやマレーシア、サウジアラビアに行って、超優遇条件で安売りしようとしたが、投資家は見つからなかった。これでは恰好が付かないということで、相談したのが9ナガ(インドネシア政府に大きな影響力を持つ中国系コングロマリット経営者9人を示す)の一人である企業家A。
集客が見込めないのを承知でヌサンタラに一流ホテル建設する代わりに、ジャカルタ西側でA企業が進めている臨界住宅開発を国家プロジェクトに認定し、特別待遇、民間企業プロジェクトなのに、国の予算が割り振られるという異例の措置の背景には、こんなディールがあったという。
#Agun sedayu group dan jokowi
このような疑惑について企業家Aは、とあるトークショーに出演した際”大統領に頼み込まれて断れるわけないだろう?” とまるで事実だと認めるようなコメントしていたということも話題になった。この問題については、以前書いたことがあるが、プロジェクト中止だとか、徹底追及だ、と言われていて、大統領もそのつもりだといったような報道があったのに、株価暴落とかルピア安の話でかき消されてしまった感がある。
IKNヌサンタラは、汚職のモニュメントとして訪れてみたいポテンシャルな観光スポットになっている。現地新都市庁も、EVバスでの見学ツアーを用意して観光促進を歓迎しているとのこと。
#Bus trip Balikpapan ‐ IKN
不景気と観光低迷
#ヌサンタラ新首都の現状
#首都移転計画の迷走
#ジョコウィインフラの負の遺産
#国営建設企業の債務危機
#下請け業者の悲劇
#公共事業予算の大幅削減
#新首都庁口座凍結疑惑
#IKN建設の現実