法廷ライブ中継にあまり期待しない方がよいと思う件
南シナ海を巡行する監視艇の中で、ジェンデラルとわたしはいつも一緒の部屋で過ごしました。彼は否定するかもしれませんが、わたしは宗教上の妻です... こんな証言を聞いたら、ドラマより面白そうだななどと思ってしまうだろうか。公開裁判でさえあれば特に禁止する規定はないそうで、公民を問わず国民の関心が高い裁判については、透明性や公正性のためにライブ中継されるのだそうだ。 証言や応答はもちろん、被告や裁判官の表情から声の調子、はたまた傍聴している家族の反応まで毎日、カメラワーク付きで一部始終が中継され、ネットメディアにはオンタイムの見出し付き記事が即時アップされる。 2023年、2月、3月には、被告人が警察高官という裁判が二件続いた。 ”高官”というとぼやけてしまうが、結構国民に直接かかわりのある立場の人のまさかと思うような事件が明るみになったので国民的関心が集まったのである。 その事件の内容とは 2月 FSの事件 警察を監視・指導する立場にある警視総監が、腹心の部下だった警官を、別の部下である警官に命じて射殺し、立場を利用して証拠隠滅を図った事件。 3月 TMの事件 西スマトラ州警察の署長が、証拠として押収した覚醒剤を着服し、警官である部下に命じて横流ししていた事件。(冒頭の証言は、直属の売人として逮捕された女性Lの証言) どちらも上司という立場を利用して警官である部下に犯罪を命令したというところが共通しており、先に逮捕された警官の勇気ある告発と、大統領の方針に従って体質改善を行おうとしている警察長官直々の介入によらなければ、有耶無耶にされたに違いない事件だ。 警官になるということは多くの子供たちの夢であり親にとっては誇りだ。それが、配属先の上司の意向次第で犯罪者に、又は命まで奪われてしまうとは。これらが公正に裁かれることは、大枠としては、失墜した信頼をとり戻すために重大な事件だった。 しかし、生中継であることによって印象に残ったのは FSの件については、実行犯となった若い警官に寄せられた同情、年配の妻が強姦されそうになったという無理なストーリーを無理押ししようとした被告人の傲慢さ(腹心の部下だった被害者を殺害した本当の動機は不明) TMの件について前述の売人の女性のロマンス(被告人は否定)台湾の麻薬工場があったという供述(本当かどうかは不明)、押収した覚せい剤をミ...