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従業員22名が亡くなったーテラドローン・インドネシア火災に重大な疑惑

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日本の農林水産省の「東南アジアにおけるスマート農業の実証支援委託事業」に 採択されているテラドローン・インドネシアの本社ビルで、12月9日に火災が発生。 従業員100人規模のオフィスで、22人の従業員が死亡するという大惨事があった。 火災が発生したのは都心の住宅密集地帯、大通り沿いに立ち並ぶ、 隣と壁を共有する店舗街の一角。 収益を最大化しようと階数を増やしたり、道路側に迫り出したりという、 よくある改築の施された建物。 それでも安全基準条件が厳しくなるので4階建て以上にはしないのが普通だが、 この会社が入居していた建物は、周囲と比べても、 ひときわ高く目立つ7階建てだった。 火災が発生したのは、昼休み中。従業員の多くが建物の外に出ていた時。 爆発音があって、火事だ!火事だ!という声で火災の発生を知ったという。 火災の原因は、サービスカウンターとして使用されていた1階の倉庫に 置かれていたドローンのバッテリーからの出火と報道されている。 ニュースでは、灰色の煙に包まれ、屋上の鉄柵に張り付くようにして、 助けを待つ従業員たちの姿が写し出されていた。 この建物の出口は、火災発生現場の近くの扉一つだけ。 煙は建物の中央にある階段を伝って一瞬のうちに上階へと広がった。 非常階段も、スプリンクラーも、アラームもない中、 階段を上る途中で、有毒な煙を吸ってしまった人や、 はめ殺しの強化ガラスをなんとかたたき割ろうと試行錯誤しているうちに、 猛毒な煙を吸い込んでしまった人。 救助隊の証言によれば、被害者の殆どは、各階で窓の傍で 折り重なるようにして倒れていたという。 昼食の休憩の時間。外出しなかった、被害者の殆どが女性だった。 その中には妊娠7カ月の妊婦もいた。 さらに、単位取得のための研修をしていた大学生もいる。 ほとんどが20歳代だったというのも痛ましい。 大学を卒業しても働き先がないという慢性的な 就職難の中、テラドローン社のような、最先端のテック業界で働くことは 夢、憧れの実現であったことだろうに。 そんな有望な若者たちでさえ、スプリンクラーもアラームもない、 非常階段もない、ローテクな違法建築の犠牲者になってしまうという現実。 この会社は、オフィスについてはレンタルで、コストダウンを優先していたようだが、 扱う案件は、国家的な大プロジェクトとして力を入れている分野の大物...

【報道されない大災害】アチェ・スマトラ”超巨大同時多発地滑り”で村がいくつも消えた

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​11月末に発生したアチェ・スマトラでの大洪水・地滑り災害のニュースは、 日本では「異常気象の激しさ」というカテゴリーでしか報道されていないようだが、 国内では「異常気象はきっかけに過ぎず、最大の原因は ”無秩序な森林開発にある”という議論が高まっている。 スマトラは、火山灰質の山を覆う熱帯雨林の森におおわれた崩れ易い地質。 これを天然の樹木の根が支えることで維持されてきた自然体系が、 ここ数年、急激に破壊されている。 パーム油農園への転用、鉱山開発... パーム油を原料としたバイオディーゼルは、 CO2 削減効果があるとして、地球温暖化対策の グリーンエネルギーとして注目されているが、 じつは、油ヤシの木は、天然の樹木とは全く違い、 根が浅い上に、水を大量に吸収する性質があり、 天然の樹木を切り倒した後、油ヤシを植えれば、 肥沃な土壌を、乾燥した不毛の地に変えてしまう。 それが分かっていたので、オランダの植民地政府さえ、 農園として切り開くことをしてこなかった土地だ。 ところが、ここ数年、政府は、国産のパーム油を原料とした バイオ燃料(バイオディーゼル)を、 ディーゼル燃料(軽油)に混合することを義務化する という政策を推進し、 その需要のおかげで(その前から森林破壊が問題になってはいたものの) 熱帯雨林の森のパーム農園への転用が激しく促進された。 スマトラ島は地図で見ると、そのほとんどが緑色だが、 じつは既にその7割がパーム農園や鉱山開発地に転用されてしまっている。 信じ難いのは、絶滅危惧種種スマトラ象の住む、国立自然公園、 ユネスコの世界遺産として認定されている森林にまで、 政府が開発許可を発行していることだ。 さらに、”違法伐採の取締りも機能していない” というよりむしろ、 ”反対派の住民や活動家を取り締まるために”機能している。 そんな、積もり積もった悪行。 ”近い将来、たいへんなことが起こる”という警告は、 何度もあったが、その甲斐もなく、 むしろ2025年に入って、政治的な意図が絡んだ利権分配の道具としての、 無秩序な伐採が加速していた。 法律では、切り開いてはいけないことになっている 山の上や川の傍で、大規模な伐採が(こっそり)行われていた。 このことは、 土砂に運ばれて、川に流れ込み、 麓の村を直撃した大量の木材が、切りそろえられ、 マーキングされ...

ジョコ政権下で進んだニッケル採掘の終焉?国軍演習で露呈した違法空港の闇 

中国政府のベルト・アンド・ロード構想の主要プロジェクトの一つ EV車のバッテリー用のニッケル採掘場となったスラウェシ島。 その中部には、その拠点である中国資本の巨大な工業団地 がある。 工業団地の中には、学校や病院があり、 数万人といわれる中国人労働者のための宿舎、発電所、病院、学校、警備まで 企業が一体運営、 ミニ都市状態。 インドネシア人労働者が作業中に事故があっても内部で処理され、 暴動が発生したときも、インドネシア警察は中には入れてもらえなかった。 問題が洩れないように管理され、警察も行政も全く立ち入ることのできない 実質的な”治外法権地帯” 10年前、圧倒的な支持を得て大統領に就任したジョコ大統領は 「鉱石をそのまま輸出すれば、外国の利益になるだけ」 として、鉱石の輸出を禁止、鉱物が欲しければ「インドネシア国内で 精錬して、現地人を雇え」という方針で、鉱物業界は大きく転換した。 しかし、その方針の結果、国内に精錬工場を建設したのは 中国資本ばかり。 政府は、工場法人税30年免除、物品税・輸入税の免除など 様々な優遇策、を提供し、ニッケル鉱山開発を 優先的な国家戦略プロジェクトとして推進した。 環境汚染というリスクを受け入れてでも 外資を呼び込むのだという政府の大義名分は 国内産業を育成すること、現地住民に雇用先を提供すること だった。 ところが、実際は大量の中国人現場作業員が就業し それが現地作業員との紛争の原因にもなっていた。 ”外国人労働者は、高度な技術者だけ”という約束だったはずが、 いつの間にかその人数は、数万人にも上る。 大量の中国人労働者は、どこから入国してくるのか? その謎が、最近になって明らかになった。 この工業団地のすぐ近くに空港があるが、 入管も通関もなしに運営されていたのだ。 このことは、11月末インドネシア国軍がこの空港近くで、 軍事演習を行ったことで明らかになった。 そのときの様子を一部始終を撮影した映像によると、 グリーンのライン、IMIP(工業団地の名前) と書かれた 飛行機が駐泊し、”プライベート空港”と書かれた看板が建っている。 #Bandara Ilegal di Morowali  この飛行機が、企業本社のある中国沿岸部の都市との間を往復し ビザなし、通関なしで、違法に作業員、おそらくは物資も ノーマークで運び...

財産没収?デノミにかける国民の期待とは

通貨の桁が多いインドネシアでは、最高額面の紙幣が10万ルピア。 これは、日本の円の感覚でいえば千円札が最高紙幣のようなもの。 20年くらい前、住み込みのお手伝いさんに支払う給料の相場は、 二十万ルピアくらいだった。でも現在はもう、それは日給程度にすぎない。 十万ルピア昔は1万円札ぐらいの価値があったけれど、 現在はもう円感覚の千円札と同じくらいしかない。 1000ルピア以下で買えるものなんてほぼないし、 1ルピアになったとしても表示が変わるだけなら 別に問題ないように思える。 膨大な「ゼロ」の数は旅行者でなくても紛らわしい 会社や銀行では特に、この桁数の多さが複雑な問題になっている。 日々の業務で使う簡易版と、正式な資料の二つを維持しなければならないことや、 データ容量が大きくなり速度やエラーの原因になったり、 桁数を維持するだけのための容量を維持するコストもかかるそうだ。 インドネシア中央銀行が、デノミの検討を提案し続けてきたというのも最もな話。 実務的な利点にとどまらず、国際的な取引の場では、 桁数の多い通貨は、”経済が遅れている”というネガティブなイメージがあり、 これを刷新し、 国際的な信用を上げるためにも、デノミを実施したいという。 ゼロの数が減ったという心理的効果によって、 特に家などの高額品の分野で消費を押し上げる一時的な経済効果も期待できるそう。 『デノミは資産没収と同じだ』などと言う人もいるけれど、 価値が変わるわけではなく、新しく発行されるお札の表示が変わるだけで、 新旧両方のお札の価値に合わせた価格提示が保証されるなら、 トルコリラやロシアルーブルのような経済成長につながる成功例もある。 失敗例で有名なのは、ベネズエラ。2008年から3回に渡って14桁を切り下げ。 日用品ひとつ買うにも、札束を積まなければならないほど下落した 通貨の価値を立て直すために行ったデノミが、益々信用を失うことにつながり、 さらに通貨価値が下落した。 ジンバブエの場合は、2008年に10桁、2009年には12桁を切り下げ、 それでもインフレが止まらず通貨停止。 こういう失敗例では、元々もうダメなところに デノミがさらに追い打ちをかけ”資産没収のようなもの”になる。 インドネシアでも、かつてデノミに失敗した経験がある。 それは、1965年、初代大統領の スカルノ政権下で、...

特殊詐欺拠点から110人脱出 監禁と暴力・東南アジアに拠点移動の実情とは

勤務先は「タイの観光地レストラン」と聞いていた。 ところが、空港に着くや否や目隠しをされ、バスに乗せられ、 着いたのはカンボジア国境付近の見知らぬ施設。 そこから先は、逃げ場のない監禁生活だった。 オンライン詐欺のノルマを課され、 殴る蹴るの暴行、電気ショック、そして「臓器を取るぞ」という脅し。 「海外就職」「高収入」「初心者歓迎ITの仕事」といった 言葉に誘われて 帰ることができなくなった生産世代。 どのくらいの被害者がいるのかということすら把握することが難しい。 オンライン上の犯罪は、法規制の行き届かない国に拠点を置くことが 有利だということで、カンボジア は世界的な詐欺組織の拠点となっている。 こういった組織は、国の政府要人と近い関係、警察も買収されているから、全く手出しができないのかというと、そうでもなく、ミャンマーなどと比べればまだ可能性がある。 シンガポールの場合は、自国民を標的にした詐欺事件が発覚すると、 現地カンボジア警察と共同捜査で、犯行組織を摘発している。 日本や韓国の警察も、同じように共同で捜査を頻繁に行っているとのこと。 捜査能力が高い国や、国際的な共同捜査を頻繁に行っている国は、被害者はいても、そうでない国によりも被害者数や被害額が抑制されているようだ。 そうでない国の例、インドネシア政府の発表によれば、カンボジア国内にいる インドネシア人労働者は推定で 8万人以上だという。 インドネシア 政府は、大変深刻な問題だとして外交的な交渉を続けているとのことだが、 いまひとつどうなっているのか。はっきりしない。 涙ながらに政府に助けを求める現地からの映像、虐待を受けている映像が、出回っているが本当に痛ましい限りだ。 # tki kamboja minta tolong 逃亡しようとすればさらに厳しい罰と報復があるだろうし、現地警察は組織と癒着しているから、警察が助けてくれるわけがない。 建物の中から長い棒を持った男たちがぞろぞろと出てきて、 Tシャツ短パンサンダル履きの全く無防備なひとを路上で袋叩きにしている映像をみた。 そんな光景は現地では、よくあることなのだという。 # wni kabur dari komplek penipuan 詐欺団地といわれる建物の中には、脱出を試みた労働者が閉じ込められる 独房もあるという。引き戻されれば見せし...

インドネシアジャカルタバンドゥン高速鉄道に責任追及の動き

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”ルートの距離が短すぎる。短距離では高速鉄道は必要なく、既存の路線で十分です。利益よりも不利益が多くなるでしょう” ジャカルターバンドゥン高速鉄道プロジェクトが、経済的に非採算性が高く、また規制の要件を満たしていないとして、真っ先に反対意見を表明した、当時の運輸大臣イグナチウス・ジョナン氏。 その後、この案件は交通省ではなく、国有企業と中国の案件としてすすめられ、ジョナン氏は、2016年1月の起工式に出席しないことで反対の意志を示し、着工許可の発行に関しても基準を緩めないことなどにより、断固として反対した。 ジョナン大臣は、第一次ジョコ政権の大臣の中で、スシ漁業大臣と並んで国民に人気のあった人物。国営鉄道会社PT KAIのCEO時代に、会社の体質やサービスを劇的に改善させたことで知られ、誠実な人柄で知られていたが、やはりその通りだったと惜しまれながらも、半年後の閣僚改造でジョナン氏は運輸大臣から解任された。 ジョナン大臣が解任させられた後、大統領宮殿に呼び出された、公共政策アナリストのアグス・パンバギオ氏は、そのときの大統領との会話について次のように証言している。 「採算がとれません。国家に損害を与えることになるでしょう」と警告すると、大統領は「赤字にならないようにできるよ」「ハイテク技術だし、この国にとって必ず良いものになる。中国政府のサポートがある」 「このアイデアは誰からでたのですか?」と尋ねると、大統領ははっきりと 「これは私のアイデアだ」と答えたという。 周囲の意見を全く受け付けなかったジョコ大統領の当時の様子。さらに、複数の専門家がこの問題を取り上げ、発注金額が他の中国企業の海外での高速鉄道建設費と比較して、「3倍もの値段で計算されていた(水増し)されていたこと、費用が膨らんだ最大の要因となった ルート変更と土地収用費用の激増は、ジョコ大統領と近い関係にある企業家に利益をもたらしたことについても、議論されている。 これまで一部の批評家が追及するにすぎなかった、ジャカルタ―バンドゥン高速鉄道プロジェクトの巨額の負債に関するニュースにこれほど注目があつまっているのは、利息を含む負債の支払いがいよいよ本格化することから。 そんな中、来年度の予算会議では、プルバヤ財務大臣が、「債務返済について、政府がその責任を負うべきではない」原則を表明した。 プルバヤ氏という...

インドネシア産冷凍エビ セシウム汚染検出される

アメリカ上院本会議では、映画「エイリアン」の画像をモニターに写しだして、 当局の対応が生ぬるいと厳しく批判していた。 「外国のエビは、アメリカの基準に従っていないから食べたら 『エイリアン』になってしまうかもしれない。 少なくとも、耳がもう一つ生えてくるかもしれない」 アメリカ国内の主要港でインドネシア産の冷凍エビから、 放射線が検出されサンプルを検査の結果、低レベルのセシウム137が検出された。 サンプルの検出値は68Bq/Kg、米国FDAの介入レベルは1,200Bq/Kg、 下回っていればよし 、というわけではなく、 生産加工された環境の確認が必要なのだそう。 連絡を受けてインドネシア政府が調査した結果、 問題の海老を輸出した加工工場B社の工場付近で 放射能汚染が検出された。 その情報に基づき、 ’不衛生な条件下で加工されたもの’として B社が加工・出荷した輸送中の439コンテナーを含む、 冷凍エビは全て ジャカルタ港に送り返されることになった。 莫大な量だ。セシウムはそのすべてから検出されたわけではないそうだけれど、 B社はレッドリスト入り、この会社の全エビ製品に対する輸入警告が発出された。 経済調整大臣はこの件について 「超微量、基準値より全然低い 」と答えていた。 インドネシアの海老輸出先の7割近くがアメリカ向け、 その次が日本、中国。 国内消費量は1桁にも満たない。 439コンテナーもの冷凍エビは、国内の年間消費量の何倍にも相当し、 国内では消費しきれない。別の国と交渉して 再輸出するしかないのだが、 これだけ世界中で話題になっている中 アメリカに拒否された大量の冷凍エビはどこへ消えることになるのだろう。 18コンテナーが既にB社に戻ったということと、 問題のあった5コンテナーがまだ港にあり、 439コンテナーはまだ輸送中だということしか 今のところ分からない。 微量の汚染... これまで全くなかったのかということが 疑わしいような感じがしてならない。 汚染のあったB社は、首都ジャカルタから1時間程度のところにある工業団地。 この工業団地には250社もの、食品、化学、金属など多岐にわたる工場が稼働している。 港へのアクセスのよいところから、輸出企業が多く入居している。 最初に放射能汚染が検出されたのは、B社 から3キロ離れた工業団地の周辺にある、 鉄リサ...