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都市部でも巨大地震の恐れ?ジャカルタ・バンドン高速鉄道が横切る活断層

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 日本で南海トラフ地震の注意呼び掛けがあったというニュースに便乗して、インドネシア気象局も、メガスラスト地震(プレートの境界線で発生する巨大地震)が発生する可能性があると発信し始めた。 海溝とセットになった火山帯が縦に並ぶ地形。プレートの境界線を震源とするマグニチュード8以上の地震と津波がいつどこで起きてもおかしくない状況は日本と似ている。2004年にマグニチュード9の地震が大津波を引き起こした北スマトラアチェ州沖海溝の延長線上にある南スマトラ・ジャワ島の南西沖は、いつ地震が起こってもおかしくない状況だと、気象庁は説明する。 Mana Saja Wilayah Berpotensi Gempa Megathrust? Ini Penjelasan BMKG BMKG sebut potensi gempa bumi megathrust bisa terjadi di Indonesia sewaktu-waktu. Mana saja wilayah yang berpotensi terdampak? Ini penjelasan BMKG. www.kompas.com 気象庁の地図をみれば、インドネシア国内全てリスクが高い。首都移転させようとしているカリマンタン島を除いて。 スンダ海溝で大地震が発生すれば、地理的に近いところに位置する首都ジャカルタにも津波がやってくる。沿岸沿いに広がる都市の海面は陸地よりも高いことはよく知られており、何十年も前から地盤沈下問題を抱えている脆弱な地質が、強い揺れで液状化を起す可能性もある。 地球から夏を消失させた巨大噴火…インドネシアに巨大火山が生まれる理由(蒲生 俊敬) 日本列島で、私たちがしばしば経験する自然現象や災害が、インド洋(特にその北東側)に面する国々でも、同じように起こっていることにお気づきでしょうか。その共通項とは、火山噴火と地震、そして津波です。本稿では3回の連載で、日本にとって決して他人事ではない、インド洋周辺で起こる巨大地震と火山噴火に焦点を当てます。そこから日本を見つめなおすこともできるかもしれません。 gendai.media スマトラ、ジャワ島の南側の火山帯は、断層同士の間の割れ目にマグマが蓄積される構造になっていて周期が長い(我慢強い)かわりに爆発力が巨大という特徴があるそうだ。 これまで...

賞味期限3カ月カビない格安菓子パンの需要とは

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 一年近くも車の中に放置しておいた食パンにカビ一つ生えていなかったことが少し前に日本で話題になっていたが、インドネシアには賞味期限が3カ月という超長持ち菓子パンが売られている。 2017~2018年に創業した中国資本の二企業、それぞれ東側島嶼地域向けにはOkko、ジャワ島向けにはAokaというブランド名で、インフルエンサーを利用して知名度を上げ、パンデミック騒ぎの中で急成長した企業の一つ。 窒素ガスが充填されたしっかりとした個包装に高級感を覚える人も多い。 原材料表示欄には材料名がびっしり。 ジャムの色については閲覧注意レベル? 値段はたったの2000ルピア(20円くらい)と、大手のサリロティ社の同じようなパッケージのサンドイッチパンの価格6000ルピアと比べてはるかに安い。競争の激しい都心の大手スーパーマーケットやコンビニではなく、地方の伝統的な市場に安価で賞味期限の長い菓子パンを送り込む戦略は大成功した。 インドネシアは島嶼部が多いので船で輸送するのに時間がかかるし、家の軒先に商品を並べてコンビニのような機能を果たしている小さい食料雑貨店にとっては、賞味期限が長いのは大変都合がいい。加えて漁村では船で何日も漁に出かける漁師さん用に菓子パンがまとめ買いされるという需要が常にある。 工場生産のパン最大手、サリロティ社の賞味期限は5日。同じくらいの値段なら、地元のホームメイドのパン屋さんの方が売れていた。しかし、アオカやオッコが市場に入ってきてから、価格競争力を失い、これまで地方経済の担い手だったパン屋さんはビジネスを続けることが難しくなった。 ”賞味期限3カ月というのはおかしいのではないか” 最初に声をあげたのは消費者ではなく、地方の商工会だった。SGS(国際的な製品認証機関、試験ラボサービス)に、両社の菓子パンのサンプルを持ち込み、検査したところ、アオカ235mg/Kg オッコ345 ml/Kgの デヒドロ酢酸ナトリウム(Sodium asetro ahidasetat )が含まれているという結果を得た。 インドネシアでは法律で使用が禁止されている防腐剤だが、二社ともBOPN(国家医薬品食品監督庁)の認証を受けている。 それならば、二社とも即取り消しにすればよいことだが、営業停止、商品回収となったのはオッコだけ。食品監督庁の説明によれば、アオカに...

ホラー映画化で炎上 8年前の高校生殺人事件でっち上げ逮捕の真相

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 土曜日の深夜、高架端に血まみれで倒れているところを発見された高校生男女。ヘルメットをかぶって倒れていた少年は既に息絶えており、夥しい血が流れ出ていた。かすかに意識が残っていた少女の方は病院に運ばれ4時間後に息を引き取った。手足に深い傷を負い、強姦を受けた痕跡があったという。 当初、警察はこれを交通事故として扱い二人の遺体は検死なしで埋葬された。殺人事件としての捜査が始まったのはそれから数日後、少年の父親による捜査依頼が提出されてから。警察は、聞き込みによる証言により、被害者と敵対関係にある暴走族メンバー11人の犯行であると断定。 容疑者らは、二人の乗るオートバイを追跡して取り囲み、石やレンガを投げるなどして転倒させ、空き地に連れ込み暴行を与え、日本刀で殺害したあと、交通事故に見せかけるために二人を現場に運び捨てたという。 目撃者の証言に基づいて、現場近くの住宅地で酒を飲んでいた少年ら8人が逮捕されたが、全員が容疑を否定。暴走族や被害者との関係もない。殺害場所での血痕や、血痕のついた衣服や凶器なども見つかっていない。首謀者不在の現場検証も形の上で行われたにすぎず、誰が殺害に関わったとか、石を投げたかなどの役割りも不明なまま。目撃者の証言と本人の自白だけを根拠に、7人全員が終身刑、未成年であった一人については懲役8年という重罰が下された。 Simak Rekaman 2016! 7 Tersangka Kasus Vina Tolak Rekonstruksi CIREBON, KOMPASTV Tampang para tersangka dalam kasus Vina Cirebon dapat dilihat dari berkas liputan KompasTV pada tahun 2016 silam. Para tersangka sempat dis... youtu.be 場検証中の容疑者少年たちの訳が分からんといった表情。隠しようもない警察の横暴さ。 被害者のエキイは、中部ジャワを基盤とする暴走族組織の地元のリーダーだった。カメラの前では顔をゆがめてみせるのが癖らしい男気ありそうな好男子、紅一点でいつもそばにいる長い髪の少女フィナ。事件の夜、エキイは、いつものように彼女を家に送り届けてから、組織のミーティングに向かう予定だった。 FAK...

ジャカルタ・ジャワ島北岸部に迫る水没の危機

 気候変動の影響による海面上昇で、世界各国の沿岸に位置する大都市が水没する可能性について語られる時、最も早く水没する都市として名前が挙げられる首都ジャカルタ。面積は東京23区と同じくらい。漁港のある沿岸沿いが海抜ゼロ以下というところも東京と似ている。 Climate centralによる2030年水没予測マップによると、沿岸線から10キロ範囲内まで都市の主要部は全て赤く塗られていて、相当ヤバいという印象を与える。といって映画のように一揆に津波が押し寄せるのではなく、あるとすれば大雨のあと水が引かない地区が次第に増えてくるという沈み方になるだろう。 #Peta proyeksi Jakarta Tenggelam 2030  海面上昇について世界的な議論が交わされるもうずっと前から、ジャカルタ市の地盤沈下問題の深刻さについては警告されてきた。いくつもの河川や水路が、街の中を通り抜け海に注ぐ脆弱な土壌な上に水はけが悪く、急激な都市化の重みにそもそも耐えられないことはよく知られている。 ジャカルタ湾から海峡を渡ったカリマンタン島西部の既存の町を都市化する形で首都を移転させる計画は、建国の父スカルノ大統領の発案によるもの。しかし何故、東部のジャングルを伐採して建てることになったのかは謎。もうすぐ移転式典はやるかもしれないけれど、すぐに全て移転できるわけではなくまだまだ巨額の国家予算負担が続く見通しだ。 ジャカルタ都心には、カンプンアプン(浮かぶ村)とよばれる、竹や廃材などで床を高くして水の上に暮らしている地区があるが、その水たまりの深さがなんと今や3メートルにもなっているという。自主的に引っ越せば何の補償も受らえない、職を失うリスクがあるとして引っ越せないままもう何十年もくらしている。 #Kampung Apung  首都機能が移転したところで、何か変わるようにも思えない。使用しなくなった省庁のビルは二束三文で売り渡されるに違いない。そういう利権があるからなおさら、11月の知事選挙もまたゴリゴリに荒れるだろう。投資対象であるビルを取り払って、政府が緑地を作るなどはありえないだろう。 戦後70年もたつというのにまだ上下水道がない、ごみ収集もできていない危険で不衛生な地区に人口の60%が暮らしている。それらを移住させて、洪水や渋滞の問題を解決しようと...

2024年大統領選挙の結果と茶番だった憲法裁判

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 ”国のリーダーであっても法律を無視して自分の家族や仲間のために働くなら、それはマフィアです。また、自分のために国民のお金を使ってばら撒きを行うなら、職務上の倫理を忘れたという点でレジのお金を盗む店番と何処が違うでしょうか。 2月に行われた大統領選挙の結果に対する憲法裁判で、倫理専門家として証言台に立った神父に対し、被告側の弁護士団長は ”データもなく、単なる感情的な訴えは時間の無駄”と薄笑いで応答した。団長からしてこのような態度であることから当然、被告側の弁護士団は、機能や倫理規範など議論する気は毛頭ない。 ”憲法裁判所は選挙の結果を追認する機関にすぎない””大統領が選挙期間中に配った支援物資は選挙の勝敗に関係しなかった”という専門家たちの証言の方こそ、碌なデータもなく時間の無駄のようにみえた。選挙管理委員会側の証人の一人である票集計アプリ開発者などは、”私のような薄給の研究者としては・・・”というところで声が震えてしまい、涙声になるのをこらえるために深い深い溜息をつくという場面があった。 被告側の弁護士団が民事専門家ばかりなのとは反対に、原告側の弁護士団は、元憲法裁判官の弁護士団長をはじめ憲法・法政界の専門家ぞろい。被告側の不手際は、原告側の視聴者にとっては楽しい話題。原告側は、このような裁判沙汰になることは、選挙の前から予測されていただけあって、データが鍵となる重要な証言ではデータが提出され説明も要領を得たものであり、裁判長だって身を乗り出して聞いていたようにみえた。 この裁判に先立ち、経済の専門家や学術界の著名人が署名を提出し、政権の暴走を防ぐことこそが憲法裁判所の機能であること、長い間の独裁政権下で苦しんだ経験と、民主主義者らの尊い血と汗と涙によって勝ち取った制度であること、ここで不正を裁かないことは、不正を承認するのと同じであること、憲法裁判官は、圧力に屈せず勇気をもって専門家として威厳ある判決を下すことを求めていた。 先生方は、大統領にも不正を止めるよう意見書を提出していたが全く何の反応も得ることができなかったが、出身大学や大先輩からの意見は憲法裁判官に対しては影響がありそうな気がする。重大な倫理違反の判決を強行した大統領の義理の弟にあたるウスマン裁判長は、倫理委員会の判決によってこの裁判には参加できなかったことも、原告側には追い風にみえた。 ...

バンカ・ブリトゥン州スズ違法採掘と芸能人の赤い糸

 高級時計やスポーツ車の店先で”すげえ安い”と大声で叫んだり、ATMの残高の数字を見せて、”まだまだこんなにある”などとわざわざ自慢してみせるのは、あまりセンスがいいとはいえない。それでも百万単位のフォロワーがいて、芸能人のポッドキャストに招待されたりしているとやはり人気者であることは間違いない。そんなインフルエンサーと呼ばれる人たちが続けて逮捕されたのは、パンデミックによる外出制限騒ぎが収まってきた頃だった。 元はバイクタクシーの運転手や、路上ミュージシャン、トレーディングを始めてからはスポーツカーを何台も所有するほどの大金持ちになったというプロフィール。しかしその実態は、誰でも簡単に稼げる方法を伝授すると称して、視聴者を違法なプラットホームに誘導し、アフェリエイターとして、スポンサーからキックバックを得ていた。高級品自慢の資金もそのスポンサーから借りたものだったとか。 #Cazy rich bodong  また、最近になって逮捕されたのが、豪邸自慢で有名なインスタグラマーHL。家具は全部イタリア製。スポーツカーと室内プールに、ブランド品や宝石のコレクション。コンテンツにするにはもってこいの贅沢な暮らしぶりで、有名人のチャンネルに招かれたり取材されたりしている。4人の子供がいるが結婚はしない。一般家庭に育ち普通のOLから女手一つで富を築いたと言う40代。 自慢そのものよりも誰もが聞きたいのは、いったいどんなビジネスでこれほどお金持ちなのかということ。そのような質問をされると”神様に祈ってる” ”わたしね一生懸命やるから”などとあまり関係ない話をしてはぐらかす。実は、彼女の富の源泉であるビジネスは、鉱山採掘後の環境回復や地元民への補償のための活動に使う資金CSR(社会的責任)の横流しだった。 #helena lim crazy rich pantai indah kapuk シンガポールとジャカルタの中間にあるバンカ・ブリトゥン島。マングローブの森と豊かな漁場、地元民の暮らしをまもるための法律に従って営業権を持つ国有企業が、無許可の業者が採掘した鉱石を買い上げ、違法な利益をCSR資金という名目で横流しする役割だったという。国営企業の赤字を補填しているのは、国家予算だから、結局、彼女の贅沢の資金源は国民の税金だったということになる。 鉱山業以外の職業...

実はがっつり中国化だったインドネシアの川上化政策

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 北京で習近平国家主席とがっちり握手、次期大統領として迎え入れられたプラボウォ国防相。国防分野で協力し、両国の協力関係を更に強化すると言っているが、国民の側にしてみればこれは全然話が違う。”私は愛国者、国を守る”と選挙の時しきりに強調していたのと全く正反対の言動だ。侵略する意図を持つ国の軍隊と協力するというのは一体どういうことなのか訳が分からない。 少なくとも国民の多くは、これまでインドネシアが中国と友好な関係にあったと思っていない。労働者を大量に送り込み、国内の雇用機会を奪う迷惑な存在だ。雇用拡大経済効果を謳った国家プロジェクトなのに、現地人を差し置いて彼らが大量にやってきて、高い給料をもらって威張っている。コミュニケーションをとろうともしないし、マナーもよくない。カモにされてるのは日本だけじゃない。 パンデミック中、バンドン高速鉄道やニッケル精錬所で働くため外国人が大量に入国していたことは、何度も大きな騒ぎになった。その度に”あれは高度な技術者、国内にはない技術の専門家だ”と説明するルフット投資海洋調整大臣といえば、中国政府の回し者として有名。パンデミック対応予防注射の指揮をとったのも、不要不急のEV車に補助金をねじ込んだのもこの人物。(勿論、大臣自身の個人的なビジネスが関係している)”政府の悪口を言う奴は国から出ていけ”という発言が物議をかもしたこともある、強面のタカ派。 庶民の味方であるジョコウィ大統領が、その正反対のルフット調整大臣をそんなにも信頼し、重要な案件を一任するのかということについて表立った批判はなかった。イメージというのは恐ろしいもので、汚職撲滅委員会の権限を弱体化させる法律も、外国企業に有利な内容が盛り込まれた雇用創出法も、一部学生や労働組合が声をあげていたが、調査によれば、ジョコウィ大統領の支持率にはあまり影響がなかった。 (日本にもかつてこういうタイプの首相がいた、そういえば、目つきや顔つき、息子の愚かさまで、似ている。小泉劇場ならぬ、ジョコウィ劇場だ) ところで、次期大統領は一体いつ確定するかについて、先に話題になっていた国会における不正選挙追及は未だ実現しておらず、憲法裁判所での訴訟の方が先に始まっている。他の大統領候補者二名はそれぞれ憲法裁判所に訴訟を起こし、アニス候補陣営は、出馬登録の時点から違反のあったジョコウィ大統領の...