この兆候があったら危険「意図的な貧困」ベネズエラ崩壊からまなぶ 




2026年幕開け早々、ベネズエラの大統領が米軍に連行されるという衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。以来、その是非や目的について激しい議論が続いているけれど、ここで注目したいのは、「
ベネズエラの通貨危機が世界的なニュースになったのは、10年も前の話だ」ということ。

この10年間、世界ではいくつもの政権交代や紛争、パンデミック、そして戦争があった。しかしベネズエラでは、あの悲惨な状況が改善されることなく、ずっと続いていた。その事実に暗澹とする。

どんな政府であれ、経済を破綻させて、国民の怒りが頂点に達するまで腐敗すれば、政権は入れかわるしかないだろう...という期待がある。でも、それはただの思い込みに過ぎない。じつは、腐敗したまま居座る可能性の方が高いのだ。

堅実路線から腐敗へ

ベネズエラの国家破綻の原因は、よく、「石油資源への過度な依存」と「産業育成の失敗」が育成されなかったこととして説明される。しかし、その流れを見てみると、それは国民の怠慢や先見の明のなさというより「意図的に貧しくさせられていた」という実態が見えてくる。

1960年代から70年代、ベネズエラは中東情勢が不安定な中で、世界の石油供給を支え、南米でも指折りの生活水準を誇っていた。当時の政府は国営石油会社を設立し、外資と協力しながら技術者を育成するという、堅実な方針を掲げていた。

転機は1980年代の汚職と債務拡大、そしてIMF主導の緊縮財政。1989年、公共料金の引き上げに端を発した大規模暴動では、軍の投入により数千人ともいわれる犠牲者が出た。

そんな絶望の中で、腐敗政権打倒を掲げてクーデターを起したのが、
当時、中堅将校だったウゴ・チャベス。

クーデターに失敗して、投獄されたことで、かえって絶大な支持を獲得。
恩赦を受けて解放され、大統領選に出馬する。


仮面をかぶった独裁

1998年に圧倒的な支持で大統領に就任したチャベスは、憲法を改正して、大統領の任期を延ばし、連続再選できるように改正。二院制を一院制に。

司法や選挙管理委員会を自派で固め、石油公社の技術者も自派の軍人、収益は「社会福祉」に大量投入される。

貧困率の低下という成果があったとされているものの、その実情は
「無料より高いものはない」やはりそれは政治的な戦略に過ぎなかった。

‐ 支持者への優先配分:
診療や住宅などの恩恵は、政権を支持する地域が優先  される。
‐ 自由の剥奪: 反対派に回れば、最低限の生活保障すら受けられない。
‐ 効率の低下: 石油産業は専門家ではなく、利権を分配するための「財布」と化した。

さらに、国内産業が育たなかったというよりも、国民の生活手段だった農業や商業を成り立たなくさせ、つぶしたのもこのチャベスの福祉政策だった。
食糧品でも、生活用品でも、海外からの安価なものを大量に買い付け、
国民に配る。

そのおかげで、主要産業だったベネズエラのカカオやコーヒー農園を含む農業も、工業も経営が成り立たなくなり倒産した。失業者が増え、政府が輸入して配ってくれる物資に対する依存度が高くなる。

石油で儲かっているからそんな大盤振る舞いが出来るのか?
実は、その頃から債務も膨らんでいた。「景気が良いときに貯金をする」のではなくて、「景気がいいからいくらでも借りられる」と将来を売り払ったツケが、その後10年以上も続く地獄のような停滞を招いたともいえる。

仮面を脱いだ恐怖政治

それでも、国民はチャベスを庶民の味方だと信じていた。毎週日曜日に生放送のテレビ番組に出演して、自由奔放なトークを披露する。人柄とユーモアで人気ある大統領のまま、この世を去る。

そして、チャベスの政策をそのまま引き継いだマドゥーロ政権の頃から、インフレは制御不能な状態に突き進む。

マドゥロ政権が最初に直面した巨大な壁が、2014年の大規模な学生デモ。

モノ不足の始まり、治安の悪化、言論の封殺。それまで蓄積していた国民の不満が一気に爆発した。

最初は、催涙ガスやゴム弾で対応していたものの、次第に、実弾や拷問。
天安門事件のように戦車で蹴散らしたわけではなかったが、準軍組織がデモ隊にバイクで突っ込み実弾を撃ちまくるという強硬手段。

チャベス時代の「民主主義の皮をかぶった独裁」から、「むき出しの恐怖政治」への変貌が確定した瞬間だった。

意図的に貧しくさせられた?

産油国でありながら、ガソリンが手に入らず、スーパーの棚は空っぽ。国民が一日一食の上に苦しむ一方で、政府高官や軍幹部は、ドル建てで生活。プライベートジェットでぜいたく品を取り寄せ、高級住宅街の価格は爆上がりのバブル状態。

この歪な構造を支えたのが「軍の抱き込み」だった。
マドゥロは、軍幹部を麻薬密売や経済犯罪に関与させることで、「政権が倒れれば自分たちも刑務所行きになる」という運命共同体を作り上げた。

さらに巧妙なのは、市場経済を潰滅させた後の「食料配給システム」
政府は、「政府への忠誠」を条件に、品質の劣る穀類などを配給。

配られるのは、トウモロコシの粉、パスタ、豆、塩など。肉や野菜は勿論ない。それでも国民は、次にいつ届くかもわからない配給以外に、食べるものがない状況に追い込まれ、ずっと耐え忍んできたのだ。

独裁者にとって、国民の困窮は国家の一大事どころか、むしろ「支配しやすい」状態を作り出すためのツールに過ぎない。

その態度が明確に表れていたのが、2018年 当時報道されていた、大統領選挙の不正をめぐって、野党の議長が、憲法の規定に基づいて「暫定大統領」を宣言した時の話。

阻まれた人道的支援

米国、カナダ、中南米諸国は、この暫定政権を即座に承認し、マドゥロ政権への経済制裁。そこで発生したのが、米国が送った人道的支援物資が、マドゥロ側の軍や国家警備隊が武力で阻んだという事件。

何故、自国民が飢えているのに、マドゥロ側は食糧を拒んだのか?
それは、マドゥロ政権を通さなくても、物資が国民や末端の兵士に届くことが、支配体制の崩壊であると考えられているから。

低賃金で働く兵士たちは、自分や家族の食糧を確保するために、良心を押し殺して政権の理不尽な命令に従っているもの。もし、暫定政権側から食料が手に入り、命令系統が乱れる恐れがある。

結局、野党の暫定大統領体制は、軍の支持を得られないまま消滅。米国からの経済制裁はつづいても、中国やロシアと接近しマドゥロは、政権に居座り続けた。

2026年 独裁の終焉が問いかけるもの

そして、2026年第二次トランプ政権の手によって、マドゥロはついに拘束された。軍部内に寝返る者があったのではなどとも囁かれている。この人事作成に対しては、「他国の主権侵害だ」「結局は、石油利権狙いではないか」という批判もある。

それでも、この出来事が世界に示した確かな事実は、「国民を飢えさせ、尊厳を奪う独裁は、決して永遠には続かない」ということ。

羊を食べる羊飼いは、最終的にはより強大な力によってほろぼされる。これは聖書にも記されている、文明発祥の大昔からずっと繰り返されている鉄則でもある。

ベネズエラの悲劇は「遠い国の話か?」

じつは、私が日ごろ、ウォッチしているインドネシアと、ベネズエラには共通する点がたくさんある。天然資源という利権を政府高官と軍のエリートが占領している、経済が好調な時代に抱えた借金を抱えているという点。

そして何より、「庶民の味方」という顔をして彗星のごとく現れたリーダーが、巧妙に法律を書き換え、あらゆる人事を掌握して、独裁体制を築こうとしていく手法。

違法なビジネスと利権で縛り、「一蓮托生」の運命共同体を作り上げる構造。現政権が進める軍人への利権供与や、「昼食無料プログラム」といった政策をみていると、まるでベネズエラが辿った独裁のロードマップを忠実になぞっているのではないかとさえ思えてくる。

ベネズエラの悲劇は遠い国の話ではない。ただの恐れにとどまらず「このままじゃベネズエラになってしまう」という具体的な警戒心こそが、民主主義が死に至るロードマップを阻む「防波堤」になるはず。

そんな思いで現在話題のベネズエラについて調べてみました。


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♯ベネズエラ ♯マドゥロ拘束

♯意図的な貧困 ♯独裁のロードマップ

♯通貨危機 ♯石油の呪い ♯食糧支配





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