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2024年世界腐敗支配者ランキングにジョコウィドド元大統領ランクイン

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国際的な調査報道ネットワークOCCEP(組織犯罪と腐敗報道プロジェクトが発表した、2024年の世界腐敗人物ランキング第二位にインドネシアの7代目大統領、ジョコ・ウィドド元大統領がランクインした。 1.ケニアのウィリアム・ルト大統領 2.インドネシアのジョコ・ウィドド元大統領 3.ナイジェリアのボラ・アハメド・ティヌブ大統領 4.バングラデシュの元首相シェイク・ハシナ 5.インドの実業家ガウタム・アダニ 同組織は、2016年に世界を震撼させたパナマ文書、世界中の政治家や富裕層が、タックスヘイブン(租税回避地)を利用して巨額の資産を隠していた実態を暴き出しの調査報道において重要な役割を果たした世界中のジャーナリストの組織。 世界的に腐敗で名を知られた二代目大統領のスハルト元大統領以来、インドネシアでは二人目の、汚職で世界的に名を知られる元大統領となった。過去には、ベラルーシのルカシェンコ大統領、ブラジルのボルサナロ大統領、などもランキングされた調査とのことだが、果たしてどうなるか。 この調査では、汚職金額だけでなく、組織的犯罪、不正選挙、人権侵害、自然破壊、への関与度も評価の対象になる。2025年から消費税が12%になる。生活必需品は増税しないと政府は説明しているが、一体どうなることやら。 明るいニュースに乏しい中、ジョコウィドド氏のランクインは、国民にはささやかな朗報として受け止められている。 ランクインの 感想を報道陣に尋ねられても、いつも通り笑顔ですっとぼけるジョコウィドド元大統領

国立大学図書館内で製造された偽札 ATMでも検知できず

大型高性能の大量印刷機は、深夜、フォークリフトで運び込まれた。壁には防音材を施し、外からはかすかに聞こえる程度。図書館長が自ら”本を印刷している”と説明すれば、それ以上尋ねる者はいなかった。 インドネシア第七番目の都市マッカサールにある宗教省管轄下の国立大学。近くの町で偽札を所持し逮捕された男の証言から、警察が、同大学の図書館を捜査したところ、使用されていない元トイレ2X4メートルのスペースいっぱいに置かれた高性能大量印刷機が発見された。 印刷機の他に押収されたものは、印刷に使用したとみられるインクの缶やアルミニウム粉末、デジタル計量器、紙幣を切断する機器、未切断のルピア紙幣446百万ルピア相当、韓国ウォン5,000札、ベトナムDong500 札などの海外紙幣、インドネシア銀行の定期預金証明書のコピー 45兆ルピア相当 1枚インドネシア国債 700兆ルピア相当など。 報道によれば、総額1000兆ルピア相当。これはインドネシア国家予算の三分の一にも相当する。これは、印刷済みの偽札の金額もさることながら、巨額の、預金証明や国債が印刷されているというのは、国としてヤバい。 これまでに図書館長を含む17名が逮捕されているが、偽札を市場の紙幣と交換して報酬を得ていた主婦や、図書館長に雇われて製造の手伝いをしていた一般人以外に、国営銀行の職員2名や、国家公務員4名、が含まれている。 また、この逮捕の11日後に、大学職員の一人が突然死している。関係者として自分の名前が出たことがショックで心臓発作を起こしたと報道されているが、イニシアルや年齢すらも公表されていない謎の人物だ。 現在報道されている情報は、首謀者とされる図書館長の警察に対する証言によるものがほとんど。彼は、大学の正職員であり、図書館学の講師、博士号も持ち、大学外でも活躍するアカデミックな表の顔、その裏で2010年以上も前から偽札印刷に関わっていたという。 以前は、出資者とみられる実業家の自宅で小規模な印刷機を使用して偽札を製造していたが、より大量に印刷する必要性があり、高性能オフセット印刷機GM-247IIMP-25を、6億ルピア(600万円ほど)で中国からスラバヤ港を経由して直輸入、大学の図書館に運び込んだのは2024年9月。 出資者とみられる実業家宅についても、警察は既に捜査済み、紙幣を印刷するための紙を購入した履...

インドネシア地方首長選挙の真相 ジャカルタでは勝てなかった元大統領の支持する候補者

11月27日に行われたインドネシア全国統一地方首長選挙について、日本語メディアでは ”大統領と元大統領の支持する候補者が勝利”という点に焦点をあてた形で報道されているが、これは、2024年の大統領選挙戦からの流れを抜きにしては理解することができない。 まず、スハルト独裁政権崩壊後、民主化時代の歴代大統領が、自らの後継者を決める大統領選挙や、地方首長選挙に介入し、自身の側近や身内をゴリ押しするというようなことはこれまでになかった。 後の政権の負担にならないよう、重要な決定や人事も、退任間近になれば控えるのが最高権力者としての威厳というもの。少なくとも6代目ユドヨノ大統領は中立の立場を通した。しかし、7代目大統領のジョコ氏は違う。 自身の後継者を決める大統領選挙の選挙運動機関、2023年の後半ごろから始まったジョコ氏の権力の乱用とは、国家予算の私物化、地方首長や警察を動員、ばら撒き・恐喝、データの操作・・・ そのような暴走を許さないという理想に基づいて設置されているのが憲法裁判所だが、現職大統領の違法行為に対しては無力であるということが明らかになった。不正選挙は判決によって証明されず、現役大統領の推薦するプラボゥオ氏とジョコ氏の長男が政権を握ることになった。 2024年大統領選挙の結果と茶番だった憲法裁判 残りの大統領任期中を通し、ジョコ氏は選挙関係のある政府機関の報酬アップや表彰、人事の入替えを次々と行った。さらに、自然破壊・国土縮小につながる砂の輸出許可や、実業家の利益にしかならない大規模土地開発を国家プロジェクトに認定すると、国家機関による強制的な土地の取り上げと、地元民との間の紛争が、これまでもあったが更に激しくなった。 その目的は、選挙に協力した側に約束された報酬、又は恩を売る行為であることは明らかで、この報道と同時進行で、ヌサンタラ首都移転計画の杜撰さ、違法鉱山開発の実態、経済効果のない対外債務を無責任に膨らませたこと、大臣や税関職員の汚職の実態も次々と暴露された。 国民はもう以前のように”ジョコウィ大統領”と呼ばなくなった。ジョコ氏が幼い頃、病弱であったために改名したというエピソードを引用し、改名する前の#Mulyonoという名前で呼び捨てにするのがネット民の隠語になっている。 ジョコ氏は、10月で大統領の任期を終えた後、その後もプラボウォ氏を通して権力を...

東南アジア発 オンラインカジノの猛威

ほんの数分間で、100円が5万円に。この快感を一度覚えると、お金を手にする度に、同じことを考えてしまうようになる。それまでの掛け金なしのオンラインゲームでは物足りなくなり、給料が入れば全額を課金してしまう。 最近は、身分証明書をアップロードするだけで借りられるオンライン金融というのが普及していて、オンライン賭博のアプリが入った同じスマホを使って、容易く一線を越えてしまうことが出来るようになっている。引き出せるだけ引き出す一方で、友人知人への借金、身の回りの品々を売り払う。 ”深夜、1~2時頃、金貸してくれとラインしてくる友人がいたら、そいつは間違いなく、オンライン賭博にはまっていると思っていい” 友達、信頼を失うだけでなく、全財産をつぎこみ、経済困難と借金取りがやってくる。ついに一家離散、ここまでになっても依存症から中々抜け出すことができない。 多幸感や快感をもたらす神経伝達物質ドーパミンが急増を繰り返すと、意思決定と自制心をつかさどる前頭前皮質領域に、物理的な損傷が生じるため、依存症から抜け出すことは物理的に困難になる。また身の程に相応した金額上限というストッパーも外れてしまうことも特徴の一つ。 取返しのつかない状況に落ち入れば落ち入るほど、そしてそれを自覚すればするほど ”勝ちさえすれば、全てを一度に清算できる”といった思い込みに傾倒し、つぎ込む金額も増していく。 依存症の治療のために精神科を受診する患者のほとんどが、”絶対に勝てる方法は分かっている”と思い込んでいるが、実は、オペレーターの設定するアルゴリズム一つで決まるのだ。 オンライン賭博運営者にとって、利用者の精神状態をモニタリングすることは、オンラインカジノ運営の重要なノウハウの一つである。 利用者がスマホを変えた(お金がないから売った)又はオンライン金融から借金した金額情報を、オペレーターは全てリアルタイムで把握しており、最初は適当に勝たせるが、借金してまでつぎ込んでくるようになったら、勝ちを与える必要はなし”という運用になっている。 人間の欲望と心理を徹底的に研究しつくしたオンラインカジノ運営のノウハウは、特別な専門知識がなくても誰でも資金さえ出せば参入できるよう、既にフランチャイズ化されており、その世界的な拠点は、中国南部、又はカンボジアにあるという。 そして最も騙されやすいのがインドネシア人。東...