株をやらなくても影響する株価の下落 ルピアに新興国市場から格下げの可能性

1月末、世界の投資家が運用の目安にしている株価指数を
作っているMSCIという格付け機関が
インドネシア市場に対して発した警告。
翌朝から、売りが殺到し一瞬で800億ドルが一瞬で消失。

あまりの売り注文の激しさに、インドネシア証券取引所は
一時的に売買を停止しなければならなかったほどの震撼。
これは、まさにアジア通貨危機以来だという。

株の売買に関わっていなくても、富裕層でなくても、
株を売り払ってドルに換えるという投資家の動きというものが、
こんなにもダイレクトに、通貨の下落に繋がるのだという恐れを
意識しないわけにはいかなくなってくる。

さらに予測されているのは株が下がる → 通貨が下がる
→ もっと不安になって株を売る」という、
止まらない負の連鎖が加速するのでは?ということ。

そして、どうやらその局面が5月に訪れることになりそうだ。

問題の核心は、インドネシア政府が、格付け機関からの警告に対し、
どう対応するのかどうかという点にある。

格付け機関から与えられた、改善の期限は今年の5月とされており、
それまでに信頼を回復するに値する是正が行われなければ、
インドネシア市場は、現在のエマージングマーケットから、
フロンティアマーケットに格下げされる可能性がある。

格下げされれば、資本流出はさらに一気に進み、
ルピア相場が20,000ルピア台まで一気に下落するのではないか
ということが懸念されている。

通貨が下がれば、赤字財政は益々悪化し、
国の借金だって膨れ上がる。1998年に政権崩壊させたとき
のような暴動やデモが起こる可能性
についても度々語られている。

それなのに、政府の前向きな姿勢は今のところ無しに等しい、
又は見当違いな振りをしているようにみえるのは何故だろう。

市場暴落を受けて、証券取引所の社長や金融監査庁の幹部ら
数人が辞任したことは、
所詮、責任逃れの首のすげ替えとしか評価されず、
何故かこのタイミングで、経験のない大統領の甥が、
中央銀行の総裁に就任する。

格付け会社が要求する改善とは、こういう縁故で固めた
不透明性な改善のことではないのだろうか?

そして、格下げされないために、改善が避けられないのが
利益を生まない政策。
その核心になっているのが、昼食無料プログラム。

子供たちの栄養を満たす、という建前はあっても、
大統領と元大統領の支持者や政治家、軍人らが運営する
給食センターを通したばらまきに過ぎないことは
既に公然の事実。

開始以来、提供される食事の質の悪さ、
集団食中毒といった問題は、改善の兆しをみせたことすらなく、
ずっと議論されている。

それでも来年はさらに予算を拡大させ、
国家予算の1割近くをつぎ込む計画。
しかもそのために教育予算や医療などが、
昨年に引き続き大幅削減される。

赤字財政で推進する、将来的に何の利益も生まない政策。
この辺りの見直しは必須なのではないか?

しかし、見直すどころか、この件に関しては何故か
経済回復策だと主張し、
アクセル踏みっぱなしなのだから、警告を出されても仕方がない。

但し、格付け機関から降格の警告を受けた
直接の原因となったのは、
政策よりも不自然な株価の動きに
政府が関与しているのではないかという疑いの方だ。

思いかえせば、ちょうど、去年の今頃既に、
国内メディアやSNSでは「株価の下落が異常」「相当やばい」
という議論が盛り上がっていた。

その発端となったのが、政府の目玉政策として打ち出されたDanantara。
腐敗や非効率の温床となってきた国営企業を、国家予算から切り離し、
シンガポールの政府ファンドのような近代的な運営を行うという触れ込みだった。

電力、通信、銀行、インフラといった、国民の生活に直結する主要産業が、
これからはdanantaraが丸ごと管理することになるという。

しかし、その設立発表直後に、danantaraの傘下にはいることになる
それまでは優良な投資先と考えられていた企業の株価が
軒並み暴落した。

そんな結果を招いた主な理由は、

・現大統領と元大統領の側近や親類縁者が幹部、
・だれが最終的な責任を追うのかが不明確なガバナンス体制
・国営企業の資産を担保にした借入れ
・不要不急のプロジェクトへの投資。

「これまでの負債を切り離すといいながら、
実際には自由に使える財源を確保し、
それらを埋め合わせようとしているのではないか?」

そんな批判に答えるような取り決めも不明なままで、
これまで国営企業が政府に納めていた配当金が、
そのままDanantaraに直接流れる運用は開始した。

Danantara発足直後の株価暴落は、国内メディアやSNS上で、
大きな議論を呼び、再検討が叫ばれた。

もしかすると、ここで、政府にとって
「株価を回復させること=政権の正統性回復」
という構図が出来たのかもしれない。

「これは一時的なショックに過ぎず、そのうち回復する」

Danantara幹部の言葉通り、その後、株価は回復した。
指数が大崩れしたというようなニュースもなく、
国内投資家の参加が増え、
高値を更新した局面もあったと報道されている。

ところが、格付け会社によれば、
Danantaraの資金や年金基金などが、下落した株の買い支えに、
利用されている。これは政府の市場に対する関与で
はないかという疑いがあるという。

格付け機関が、これを非常に不自然な動きだと判断したのは
主に、Danantara関連の限られた銘柄だけが好調
売られているのに価格が維持されている
という分析に基づく。

さらに、Danantaraはこの昼食無料プログラムのためにも
資金投入する計画があり、これもまたさらなる
利益を生まない、単に国家予算を食いつぶすだけの
利益を生まない投資。

経済専門家がいないのか?またはわざと知らないふりをしているのか?

Danantaraの幹部は、この警告を受けたあと、
下落した株をさらに買い支えると宣言したために、
更に株価が下落したこともあった。

このままでは5月に更なる通貨下落は避けられない可能性がある。
株式市場に政府が関与するのは、まるで共産国、独裁国家。
まさか、それを目指して突き進んでいるのでなければ良いが。

連日大雨が続いて洪水や地滑り山崩れなど不穏なニュースばかり。

今はただこの雨の季節が過ぎ去るのを待つばかり。

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