カンジュルハン・サッカースタジアムの悲劇

 カンジュルハン・サッカースタジアムの悲劇

2022年10月Kanjuruhan インドネシア東部ジャワ・サッカースタジアムで、サポーター同士の喧嘩に警察が介入し、催涙ガスが使用され、
警察、サッカー協会、運営者、互いに責任を擦り付け合う

独立調査団が14日に発表した調査結果は次のようなものだった。

1.ハーフタイムの時、勝敗の結果も暴動になるかどうかも分からない時点で、武器が用意されていた。

2.最初のガス弾はグラウンドの真ん中に向けて発射された。
3.観客席の方向にもガス弾がランダムに発射された。
4.一発目の発射音と二発目の音が違う。
5.催涙ガスのカートリッジは期限切れのものであった。
6.警察は検視の権限を持つが、行っていない。
7.警察が公開しない監視カメラの映像がある。
8.試合は始まって80分後にドアは開けられたが、何者かによって再び閉められていた疑いがある。
9. 医療記録の全てが被害者家族に渡されていない。
10.ガスを浴びた生存者は皆、眼の周りが黒く白目が赤くなる症状が9日間続く。
11.遺族が受取った検視結果における死因は踏みつけられたこと、催涙ガスが死因というケースはまだない。

調査報告には、販売されたチケットの数が収容人数を大きく上回っていたことや、安全のために警察が試合時間の前進を求めたがテレビ局によって拒否したということについての検証は含まれていなかった。

マスコミの報道では伏せられているが、調査団の報告書によれば、重傷者は96人、中軽傷者は484人、勝敗に不満を感じた一部の観客がスタジアムに降り、乱闘を始めたというが、警察の放った催涙ガスは、乱闘に参加していない客席にも向けられている。そもそもそのような場所で催涙弾を使用してよいものなのか?大勢の一般客を危険にさらしてでも使用しなければならなかった必然性がはっきりしない。

観客がパニックになって逃げようとしているのに、案内放送どころか、出口ゲートすらも開いていなかったというスタジアム運営者側の責任さも問われる。

その後、地方警察長やサッカー連盟会長が交代させられた。


後記:

2023年1月スラバヤ裁判所における裁判では、容疑者はたったの6人、主催側の責任者や警備責任者、警察官。うち三人が業務上過失致死罪で懲役1年程度、残りは無罪だった。

被害者への補償については、2024年現在も未解決のまま。




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