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熱中症対策に取り入れては?東南アジアの”清熱”飲料

中華系の食材店やレストランなどでよく見かける、ライチ、菊の花、冬瓜、胡瓜、など日本人にもわかる中国語と、ナチュラルなデザインのソフトドリンク 。マレーシアやシンガポールに行ったときはジャカルタよりももっと頻繁に見かけた。 ”清熱”とあるからスッキリさわやかな味だろうと思って早速試してみたら、甘すぎてスッキリするどころか却って喉が渇いて普通の水が飲みたくなってしまった。現地の消費者の好みに合わせたものだから缶入りのものが甘すぎるのは仕方ないけれど、こういう伝統的な飲み物が、暑い国で暮らす長い間の人々の生活の知恵から生まれたものであるということについては間違い。 そもそも日本人には、身体は温めた方がいいもので、からだの中の熱をとることが大切だという感覚がないので、こういう伝統的な清涼飲料って何のために飲むものなのかよくわからない。 漢方によれば、温めるだけでなくバランスを取ることが大事。喉の痛みや口内炎、夏バテのような症状は、身体の中に過剰な熱が溜まることで、炎症をおこしているためなので、清熱作用のあるものを摂取して、からだの中の熱をとるということが重要なのだそうだ。 ”清熱作用”を意識した伝統的な飲み物やデザートが数多いということは、東南アジア何処へ行ってもでも結構共通している。特に各地に散らばっている中華系民族の間では 共通の伝統的レシピが維持されている。 菊花茶など複数の薬草を煮出したお茶やこれを寒天で固めたもの、瓜や果物の他にも、黒もち米や大麦、白クラゲとか、ナツメやクコの実ハスの実など、乾物を煮出して砂糖で味付けするといったデザートが多い。 インドネシア現地発の”清熱ドリンク”はジャムウと呼ばれ、地方によってさまざまな自然の材料が薬として飲用されている。スーパーやコンビニ、全国どこでも売ってるもっともポピュラーなものでいうと、カキティガという謎の飲料がある。 水と同じ透明な液体、ボトルのデザインは、緑色のサイのイラスト。これではいったいどんな飲み物なのか、想像もつかないけれど、じつはこれは漢方の生薬である石膏のミネラル成分が主な成分で、これも清熱作用のために飲むものだ。 水よりものど越しが重い感じがするくらいで、基本、味も香りもないから、ソフトドリンクというより薬みたいな感じ。なんかのどが痛くなりそうだなというとき、喉が痛いとき、ペットボトル入りのものは特に水...

祭りか?迷惑か?東ジャワ発『ホレグ』爆音サウンドパレード

壁が揺れ、家の瓦が落ち、ガラスが割れる。赤ちゃんは大泣き、怒りっぽい人が増え、老人は具合が悪くなる。これはもう音楽ではなく災害。 東ジャワというところは、バリ島と海峡を隔てた、ジャワ島の東側。工業を中心とした小都市や農村が点在する、ぐっと生活感のあるところ。ここが、今話題になっている大音量スピーカーシステム、通称ホレグの本拠地になっている。 こちらで国民的な音楽といえば、ダンドゥット。アラブとインドの映画音楽を足したような強いバス音に、笛、押しの強い女性歌手の、セクシーで意味深な歌詞とダンスというのが特徴で、村の親睦会や結婚式などには、こういうステージを設けるのが定番。 でもこの地方では、馬鹿でかいスピーカーシステムとオペレーターのDJが流す、爆音リミックスというトレンドがある。ホレグというのは振動という意味で、まさに音が大きければ、大きいほど、スピーカーシステムも見た目も大きければ大きいほど、価値が上がる。 大型トラックを改造して積めるだけ積み上げたスピーカー。レーザーライトとか音に合わせて点滅するLEDのデコレーションも装着して、まるで大きなコンサートのステージがそのままやってきたみたいで、ソーシャルメディア映えもする。 大音量を鳴らしながらゆっくりと通過し、その後を、有志のダンスグループや一般市民の見物人がついていく。こういうのをローカルカーニバルという。 レンタル料金は1台30ジュタ(30万円)くらいからだそうで、独立記念日や大祭明けなど、村や地域で何かイベントをやろうという場合には予算の範囲だし、ご近所住民や仲間うちで、寄付を募って企画することも可能な範囲。 そんなトラックを十台以上も並べたイベント、ローカルフェスというのもあって、入場料が1万ルピア程度(100円程度)と安いこともあって、周囲の町や村から人が集まり、ひしめき合うほどの盛況ぶりになる。駐車場料やら、屋台での収入やらで、不景気な地方経済を活性化させる効果があるらしい。 こういうイベントが、パンデミックによる制限が解除された後あたりから現在に至るまで、頻繁に行われるようになり、地元ではその騒音が深刻な問題になっている。 国内の専門家は120デシベルならまだ大丈夫と言っているが、 WHOによると安全音量の目安は80デシベ ル。そして、問題になっているホレグサウンドスピーカーシステムの音量は130デ...

お米が消えていたのは日本だけじゃなかった

最近お米が美味しくなくなったなあと思って、土鍋で炊いてみたり、ブランドを変えたり色々試していた。そりゃあ日本のお米みたいなわけにはいかないけど、数年前ごろのお米はまだギリギリオニギリの形に固めることもできた。 でも最近のお米は、直ぐバラバラになってしまって、それでいてナシゴレンにしてもくっつきやすくて困る。ナシゴレン、つまりチャーハンにするのが、最終的なお米の救済方法だというのに。 もっと美味しいお米はないものかと思うものの、去年の中頃から2割も値段が上がったし、お米が買えないなんていうニュースも一時期あって、 日本みたいに価格が倍になるまではいってないし、買 えるだけでもありがたいものだと思うことにしていた。 ところが今月、そんな謙虚な庶民の理解心を踏みにじるようなニュースがあった。 農業大臣の市場調査で、店 頭の5kgプレミアム米の殆どが、プレミアムの条件を満たしていなかったということが’発覚した。 プレミアムといっても、これが標準レベルのお米で スーパーのお米はどれも同じような値段だし、 古米、古古米は、普通、別のルートで売られているものという認識。 市場で計りうりのお米もあるけれど、殆どの一般家庭では、スーパーやコンビニで5kg包装のお米を買うのが普通 。 ところがその プレミアム米と書かれたお米の8割が、中身は古米、古古米を混ぜて、又は中身を入れ替えただけの、プレミアムの標準を満たしていなかったということがわかった。 サニア、ラジャ、ウィルマー、フードステーションなんかはジャカルタ市の公営企業なのに。 これじゃあ、どれを買ってもおいしくないのは当たり前だ。 農務大臣によると,、 農家からの買い取り価格が下がり、精米所からの値段も下がっているのに、消費者価格だけが上昇している。米の生産量は過去7年間で最高の収穫量があり、米の在庫が増えているにも関わらずだ。 そこで農業省が行った268ブランドの米のサンプル検査、民間検査機関での検査の 結果、 212ブランドが標準を満たしていないことが明らかになった。 農業大臣は、改善の為の猶予期間を与えたとのことで、この基準を満たさないプレミアム米は、今でも店頭に並んでいるからややこしい。 例えば、このニュースを検索していてあやまってオンラインショッピングのリンクを押してしまうと、その問題のお米の購入ページに飛んでしまうなど...

インドネシア式沈殿コーヒーの楽しみ方

レギュラーコーヒーは、挽き方とか煎り方とか産地だとか 色々あってよくわからない。 コーヒーメーカーどころかフィルターさえ面倒くさいから、 別にインスタントでいい。 インドネシア式の沈殿コーヒーは、そんな人をコーヒーツウに 目覚めさせてしまうかもしれない。 何せ、器具不要、フィルター不要。 インスタントコーヒーと同じように、 コーヒー粉末をカップに入れてお湯を注ぐだけという 世界一手軽に飲めるコーヒーだ。 沈殿式コーヒーのトップブランド 赤と黒のパッケージに船のマークで有名な カパルアピコーヒーの創業話によると、 1920年代にスラバヤ港に移住してきた中国人の兄弟が、 現地の人たちのコーヒー好きなことに驚き、 船の乗組員向けに、独自 のブレンドでお湯を注ぐだけで飲める コーヒー粉を 一杯分ずつ紙に包んで提供したのが始まりだったそうな。 この一杯分の個包装タイプの沈殿コーヒーは 現在でも、コーヒーの基本、庶民の飲み物になっている。 家の軒先を利用した、よく見かける日用雑貨屋さん(ワルン) で一袋買って、お湯を注いでもらって その場で飲むというのが昔からのスタイルで、 建設現場や道端でも、ポットとコーヒーサセットを持って 自転車で売り歩く人を必ず見かける。 疲労回復や、眠気覚まし、集中したいとき、 缶コーヒー感覚で立ち寄る庶民の飲み物。 スーパーで買えば、一杯分の個包装のコーヒーは 一袋3千ルピアぐらいで買える(30円ぐらい?) 最安で飲めるレギュラーコーヒーといえばこれ。 勿論、最近はコンビニコーヒーとかスターバックスコーヒー みたいなちゃんと機械で淹れたコーヒーもあるけれど、 それはまたランクが別という感じで。 淹れ方や入れ物には差があるけど、 どちらもレギュラーコーヒーだし満足度や効果としては そんなに差がないはず。 ネスカフェというブランドのインスタントコーヒーの 個包装タイプもあるけれど、 こちらで、コーヒーといえば基本、沈殿コーヒー レギュラーコーヒーを先に飲み慣れている人が インスタントコーヒーに乗り換えるということは あまりない。 でもあまり頻繁に飲むのは 身体に悪そうだし、 たまに飲むくらいにしないと身体にカフェインが溜まりすぎると コーヒーを飲む効果も薄れてしまう。 そこで沈殿コーヒーを楽しむなら、 カパルアピコーヒーのような個包装タイプがおすすめだ ...

ユネスコ指定公園でニッケル採掘という超愚策‐ EV車ビジネスの自然破壊力

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                                                                       Oleh I Made Adi Dharmawam - Karya sendiri , CC BY-SA 4.0 , Pranala 世界中の珊瑚の宝庫、絶滅危惧種の生息や貴重な海洋生物が生息する秘境、 世界的なダイビングスポットとして名高いラジャアンパット諸島。 インドネシア 西パプア州の北西端に あたるこの、 真っ青な海に点々と並ぶ小さな島々からなる自然公園は、ユネスコ世界ジオパークにも指定されている。 そんな貴重な世界の財産、最後の楽園で、なんと・・・・ニッケル鉱山採掘が操業していたということが発覚した。  環境保護団体提供の空からの映像によると、森林が伐採された赤土の上をショベルカーが何台も忙しく動き回っている。小さな島だけにその真っ青な海がすぐ近くに見えるような場所だ。 そして鉱物を運び出すための運搬船は、目立たないように自然公園側から見えない位地に停泊しているが、沿岸部はすでに茶色く濁っている。 ラジャアンパットの意味は、4つの王という意味で、無数にある小さな島の中で、最も大きいこの4つの島が地名の由来になっているが、その4つの島を含む複数の島が、現在、ニッケルの採掘場になっているという。 ラジャアンパットを救え!  資源開発省のイベント会場で、副大臣が演説している最中に、プラカードを持った環境保護団体がなだれ込んだことがニュースで報道され、大炎上のきっかけとなった。そして資源開発大臣自らが、驚いた(ふりをして)現地視察にまで出かけなくてはならなくなった。 視察から戻った資源開発大臣は早速、 4社の事業権を即、停止したと発表した。その中には案の定、汚水を海に垂れ流しにしていた企業もあった。 但し、国有企業Aの子会社一社だけが、何故か事業許可剥...

元大統領の学歴詐欺疑惑 - 卒業証書偽造の真相は?

真面目に努力した人々の信頼を裏切り、教育制度全体の信用を失墜させる学歴詐欺。これを平気で行うような人物が権力を握ると、それを隠蔽やさらなる不正のために利用することも平気でやってしまうので、世の中が非常に乱れる。さらにそういう訳ありの人物ほど権力の座にしがみつきたがるという傾向があるようだ。 現在インドネシアで最も熱い話題になっているのが、10年間も国の最高責任者を務めたジョコウィ前大統領の卒業証書偽造疑惑。ジョコウィ大統領の人となりについては、これまでも何度か触れたことがあるが、旧体制をぶっ壊すイメージで登場し、国民ではなく、外国の利益のために精力的に大胆に働いたというところが日本の小泉元首相と重なる。 かなり乱暴なやり方で自分の息子を副大統領に当選させただけでなく、国務長官、警察長、最高裁判所長官、汚職撲滅委員会委員長、そしてその他現政権の組閣にも腹心を留任させるというやり方で、ジョコウィ大統領は退任した後も現政権でも強い響力を維持している。 オバマ大統領には、出生地に関する疑惑がつきまとっていたように、ジョコウィ前大統領にも卒業証書の信憑性に関する疑惑が、任期中からつきまとっている(因みに、幼少期をインドネシアで過ごしたというオバマ元大統領とJ大統領には1961年生まれという共通点がある) ジョコウィ前大統領(以下J大統領)は、2005年から2012年まで地元のソロ市で市長を務め、2012年ジャカルタ特別州知事に就任、その2年後、2014年の大統領選挙で初当選、2019年の再選を経て2期目を務めたが、問題になっているのは2019年の出馬の際に、選挙運営委員会に提出し、選挙運営委員会のウェブサイトで公開されている卒業証明書類。 2018年、一般人男性が個人のフェイスブック上で”J大統領の卒業証書には、1980年スラカルタ第6高校卒業と書かれているけれどその高校の創立は1986年。ということは卒業証書は偽物なんじゃないか’ という疑問を投げかけたことが問題になる。  公立学校の設立年という公な情報に基づいた一般人の分析に過ぎない意見にもかかわらず、警察は過敏に反応し、その28歳の男性Kは”嘘の情報を拡散した罪”(情報電子取引法)といういわくつきの法律によって逮捕されている。 その他にも、2017年に出版されたJokowi Undercoverという暴露本がある。その...

インドネシア無料給食プログラム 大量廃棄・集団食中毒連発の現実  

石破首相が支援を約束したことで、日本国民から大変な反感を買っているインドネシアの無料学校給食プログラム。日本では表面的なことしか報道されていないと思うので、現地ではこのプログラムについてどのように報道されているのかについて書く。 無料学校給食プログラムは、現地では (MBG・無料栄養食プログラム)と呼ばれ、無料なだけでなく、貧困地域の学童や妊婦に栄養価の高い食事を提供して、子どもの健康増進や発育阻害の改善を図る、貧富の格差をなくす、という建前だが、これは実施開始半年も経たずしてすでに崩壊している。 ことの発端は、昨年2月に行われた大統領選挙の選挙運動で、プラボゥオ・スビアント候補がこのプログラムを看板政策として掲げたこと。経済成長、雇用創出、地域経済活性化、貧困撲滅、健康医療、さまざまな政策について質問される度に、P大統領はこの政策一本でどの問題も解決できると強調してきた。 インドネシアは、千もの島々から構成される島国、ターゲットとする貧困層というのは、物流が困難な地域であるし、一カ所で大量に調理して配膳するシステムは難しい。できるとすれば、既にある学食や学校近辺の食堂に支援金を渡すことだが、学校の必要経費ですら満足に管理できていない現状を考えると、実現不可能なのでは?と言われていた。 当初の計算は一人当たり15000ルピアで全国民が対象、見積りは5年間で総額450兆ルピア(約28億ドル〈約4兆円〉)という、当時ヌサンタラ都市移転のために必要だと言われていた金額にも匹敵する莫大な金額。貧困者に食事を提供しても食べたら終わり、それよりも雇用創出できる政策に予算を使うことが緊急なはず、国内の経済専門家らは前代未聞の超愚策、自滅策だと評価した。 選挙運動期間中、対立候補側は、この政策の愚かさを指摘し、貧困家庭の奨学制度、教員に十分な給与を支給して質の向上を図るとか、職業訓練など、直接的に雇用を創出できるプログラムを強調するだけで勝てるほど、国民の支持を得ていた(得て当たり前のようにみえた)。 しかし、その選挙結果は予測と全く正反対の無残な結果に終わる。一番人気と言われていた候補者は、史上最低の得票数で敗退した。結果として(どんなに疑わしい方法で勝利を決めたにしても)P大統領が当選したからには、もう問答無用で自動的に実施されるという状況にある。 ”当選という形でこのプログラ...